TikTok売れの成功事例9選を紹介!仕組みや成功するコツもわかりやすく解説
商品のプロモーションに苦心していませんか?従来の広告手法では若年層へのリーチが難しく、効果的な販促方法を模索している企業も多いでしょう。
そんな中、TikTokでの投稿がきっかけとなり爆発的な売上を記録する「TikTok売れ」が注目を集めています。ファイブミニやリップモンスターなど、多くの企業がTikTokを活用した販促で成功を収めています。
本記事では、TikTok売れの仕組みから具体的な成功事例、そして実践的なコツまでを詳しく解説します。これらの事例から学び、自社の商品プロモーションに活かしていきましょう。
TikTok売れとは何か
「TikTok売れ」とは、TikTokでの投稿がきっかけとなり、商品やサービスが爆発的なヒットを記録する現象を指します。
この言葉は2021年に急速に広まり、日経トレンディの「2021年ヒット商品」で1位に選出されるなど、新しい消費トレンドを象徴する用語として定着しました。
従来のテレビCMやインターネット広告とは異なり、商品の魅力が短尺動画を通じて自然な形で伝わることが特徴です。Z世代を中心とした若年層の強い購買意欲と、TikTokの高い拡散力が相まって、投稿から数日で数百万回の再生数を記録することも珍しくありません。
「TikTok売れ」の言葉は、SNSが消費者の購買行動に与える影響力の大きさを端的に表現しており、企業のマーケティング戦略でも重要なキーワードとなっています。
消費者の行動様式を変える新たな現象として、その影響力は年々拡大しています。
参照:日経XTREND「2021年ヒット商品ランキング 日経トレンディが選んだベスト30」
TikTokが生む新しい消費トレンド
TikTokの特徴は、15秒から3分程度の短い動画で商品の魅力を効果的に伝えられる点です。特に「使ってみた」「試してみた」といった実体験の共有が、視聴者の強い購買意欲を喚起します。
商品を実際に使用するシーンや、パッケージを開封する様子など、視覚的な体験を共有する動画は高い注目を集めます。視聴者は「自分も使ってみたい」という気持ちを抱きやすく、コメント欄での評価や感想の共有が、さらなる購買意欲を促進させています。
短尺動画の特性は、従来の広告やSNSとは異なる消費行動を生み出しています。商品を知ってから購入までの時間が短縮され「見て、すぐ買う」の即時的な購買につながりやすい傾向があります。
特に10代から20代の若い世代では、TikTokで見た商品を積極的に購入する傾向が強く、新しい消費トレンドを形成しています。企業側も、この傾向に着目し、TikTokを重要なマーケティングチャネルとして位置づけています。
TikTokのアルゴリズムがもたらす拡散力
TikTokの圧倒的な拡散力を支えているのは、独自のレコメンドシステムです。ユーザーの視聴履歴や「いいね」、コメント、シェアなどの行動データを分析し、興味関心に合わせた動画を表示する仕組みが特徴です。
TikTokの拡散力を高める主な要因には、以下のようなものがあります。
- 視聴時間や完了率を重視したアルゴリズム設計
- ハッシュタグによる効率的な動画の分類
- ユーザーの反応に基づく表示優先度の調整
- 音声やエフェクトの再利用による連鎖的な拡散
特に重要なのが、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の影響力です。商品やサービスを実際に使用したユーザーが自発的に投稿する動画は、高い信頼性と共感性を持ち、自然な拡散を促進します。
企業の公式アカウントによる投稿だけではなく、一般ユーザーによる商品レビューや使用感の共有が、商品の認知度向上に大きく貢献しています。この自然な拡散サイクルが、TikTok特有の「バズ」を生み出す原動力となっています。
TikTok売れの成功事例9選
TikTok売れをした商品は多数あります。ここでは、成功事例を9つ紹介します。
ファイブミニ(大塚製薬)
ファイブミニは、当初30〜50代の女性をターゲットとしていたため、TikTokでの展開を想定していませんでした。しかし、若い女性の間で自然とアレンジ方法や飲用シーンを紹介する投稿が増加し、コンビニエンスストアでの売上が急増したことから、公式での施策展開を決定しました。
大塚製薬は、この自然な盛り上がりを効果的に活用するため、以下のような戦略を展開しました。
- 人気インフルエンサーを起用したインフィード広告の配信
- 商品1パックが当たるキャンペーンの実施
- ハッシュタグを活用した自然な拡散の促進
2021年6月から7月にかけて実施したキャンペーンは大きな反響を呼び、「#ファイブミニ」のハッシュタグは8月時点で2,000万回以上の視聴回数を記録しました。
この成功は、ユーザーの自発的な投稿をきっかけに、適切なタイミングで公式施策を展開する重要性を示しています。
リップモンスター(カネボウ化粧品 ケイト)
メダラー社の「地球グミ」は、地球をモチーフにしたユニークなデザインと鮮やかな見た目で、TikTokでの爆発的な話題を呼びました。食べた後に舌が青く染まる特徴や斬新なパッケージデザインが、SNSでの話題作りにつながっています。
商品の特徴的な外観と、パッケージを開封する瞬間の驚きが、視聴者の興味を強く引きつけることに成功しています。
展開された主なプロモーション施策は以下のとおりです。
- 開封シーンを強調した短尺動画の配信
- インフルエンサーによる食レポ動画の展開
- ハッシュタグキャンペーンの実施
特に効果的だったのは、グミを食べる前の「開封の儀」を撮影した動画です。青と緑の鮮やかな配色と、リアルな地球の模様が映える瞬間は、多くの視聴者の共感を呼び、自然な拡散につながりました。
パッケージを開けた時の驚きの表情や、食べた時の反応など、視聴者の好奇心を刺激する動画が次々と投稿され、若年層を中心に大きな話題となっています。
地球グミ(メダラー社)
ドイツのメダラー社が製造する「地球グミ」は、PLAZAが日本での輸入販売を手がけ、TikTokでの爆発的な人気により品薄状態が続く大ヒット商品となりました。
地球をモチーフにしたユニークなデザインと、食べた後に舌が青く染まる特徴が、SNSでの話題作りに貢献しています。
主なバズのポイントは、以下のとおりです。
- 地球型ケースの斬新なデザイン
- 口で割って食べる独特の食べ方
- 青く染まった舌を見せる演出効果
当初は韓国のYouTubeで注目を集めていた地球グミですが、日本ではTikTokでインフルエンサーが紹介したことで認知が急速に拡大しました。ユーモアのある食べ方動画が次々と投稿され、若年層を中心に大きな話題を呼びました。
これまでにない新しい形状のグミと、TikTokならではの演出が相乗効果を生み、瞬く間に売り切れ続出の人気商品へと成長した事例です。
ベンツ(株式会社トラスティコーポレーション)
中古車販売のトラスティコーポレーションは、経営者自らがTikTokでベンツの魅力を発信する斬新なアプローチで注目を集めています。高級車販売の特殊な分野で、SNSを活用した新しい販売スタイルを確立しました。
主な成功のポイントは、以下のとおりです。
- 社長による親しみやすい動画投稿
- 車両の細部まで丁寧な紹介
- スタッフへのインタビューによる信頼性の向上
特筆すべきは、TikTok経由での具体的な成約実績です。1,000万円を超える高級車の販売にもつながり、従来の中古車販売の常識を覆す成果を上げています。
動画を通じて車両の魅力と企業の信頼性を効果的に伝えることで、高額商材であっても購入の意思決定を後押しできることを実証しました。これは、TikTokが新たな販売チャネルとして機能できることを示す好例と言えるでしょう。
ミニ洗濯機(ダイソー)
ダイソーの「ミニ洗濯機」は、公式のプロモーションを行っていないにもかかわらず、ユーザーの自発的な投稿によって大きな話題を呼びました。手のひらサイズのコンパクトさと、メイク用品などの小物を洗える利便性が、視聴者の興味を引きつけることに成功しています。
主なバズのポイントは、以下のとおりです。
- メイク用品の洗浄という意外な活用法
- ミニチュアサイズの可愛らしさ
- 手軽な価格帯での提供
特に注目を集めたのは、ユーモアを交えたミーム動画の連鎖的な拡散です。「#ミニ洗濯機」のハッシュタグは2,100万回以上使用され、商品は一時的な品切れ状態に陥りました。
公式アカウントを持たないダイソーですが、この事例は商品の魅力が自然な形で伝わることで、大きなバズを生み出せることを示しています。
ビアボール(サントリー)
サントリーの「ビアボール」は、2022年の発売以降、TikTokを活用した効果的なプロモーション戦略により、大きな注目を集めました。
展開された主な施策は、以下のとおりです。
- 人気クリエイターによる商品紹介
- インフルエンサーを活用した飲用シーン提案
- ユーザーによるアレンジレシピの投稿促進
特に効果的だったのは、商品の特性を活かしたユーザー参加型のコンテンツ展開です。ビアボールを作る工程でそれぞれのユーザーが独自のアレンジを加え、その様子を共有すれば、自然な拡散効果が生まれました。
商品自体の体験価値とSNSでの共有価値が相乗効果を生み、持続的な話題化に成功した事例といえます。
香味ペースト(味の素)
味の素の「香味ペースト」は、チャーハンの調味料としての活用を主軸に、「#チャー活」というユニークな切り口でTikTokでの認知拡大に成功しました。特に「Spark Ads」を効果的に活用し、クリエイターとの協業による自然な商品訴求を実現しています。
展開された主な施策は、以下のとおりです。
- 「#チャー活」を活用したユーザー参加型キャンペーン
- クリエイター投稿のSpark Ads活用
- ターゲット層に合わせたクリエイター選定
特筆すべきは、Spark Adsの戦略的な活用方法です。クリエイターの選定においては、目標達成の可能性やターゲット層へのリーチ力を慎重に評価し、最適な人材を起用しました。
一般ユーザーやクリエイターの投稿を広告として活用できるSpark Adsの特性を活かし、自然な形での商品認知拡大に成功した事例といえます。
Fite me(メイベリン ニューヨーク)
メイベリン ニューヨークの「Fit Me」は、コロナ禍によるマスク生活の浸透を受け、従来のテレビCMからTikTokへと広告戦略を大胆に転換し、成功を収めました。アプリ起動時に表示される「Top View」広告を効果的に活用し、若年層への訴求力を高めています。
展開された主な施策は、以下のとおりです。
- アプリ起動時のTop View広告活用
- 人気K-POPグループとのタイアップ
- TikTokクリエイターとのコラボレーション展開
特に効果的だったのは、広告色を抑えた自然なコンテンツ展開です。TikTokクリエイターやユーザーとのコラボレーション投稿により、商品の魅力を自然な形で伝えることに成功しました。
従来の広告手法からデジタルへの転換を図り、ターゲット層に合わせた効果的なプロモーションを実現した好例といえます。
アネッサ(資生堂)
資生堂の「アネッサ」は、コロナ禍で従来のレジャーシーンでの使用が制限される中「肌のトーンアップ」という新たな価値提案でTikTokでの認知拡大に成功しました。日焼け止めの新しい活用方法を提案すれば、日常使いの化粧品としての需要を創出しています。
展開された主な施策は、以下のとおりです。
- ブランドオリジナルエフェクトの開発
- 「#アネッサおうちで夏フォトチャレンジ」の実施
- ユーザー参加型コンテンツの促進
特に効果的だったのは、商品を持っていないユーザーでも参加できるブランドエフェクトの活用です。
環境変化に合わせた新しい商品価値の提案と、デジタルツールの効果的な活用により、ブランド認知の拡大を実現した事例といえます。
TikTok売れを成功させる3つのコツ
TikTok売れを実現させるためには、プラットフォームの特性を理解し、効果的なアプローチを選択する必要があります。これまで紹介した成功事例からは、若年層へのリーチ方法、インフルエンサーの活用、トレンドの取り入れ方など、共通する重要なポイントが見えてきます。
ここでは、TikTok売れを成功に導くための3つの具体的なコツを解説します。
若年層にリーチする
TikTokで成功を収めるためには、主要ユーザー層である10代から20代の若年層の特徴を理解し、適切なアプローチを行うことが不可欠です。Z世代は広告的な表現を好まず、短時間で印象的なコンテンツを求める傾向があります。
効果的なアプローチ方法は、以下のとおりです。
- 3秒以内でインパクトのある展開
- 音楽やエフェクトの効果的な活用
- 若者目線のストーリー構成
- 直感的に理解できる商品訴求
特に重要なのは、視聴者の興味を瞬時に引く視覚的な表現です。短尺動画の特性を活かし、商品の魅力を印象的なシーンや演出で伝えることで、スクロールを止めさせる効果が期待できます。
また、若年層の日常生活に寄り添った場面設定や、共感を呼ぶストーリー展開により、自然な形での商品認知を促進できます。
インフルエンサーを活用する
TikTokでの商品プロモーションにおいて、インフルエンサーの活用は重要な戦略の一つです。商品の魅力を自然な形で伝えられるインフルエンサーとの協業は、高い共感性と拡散力を実現できます。
効果的なインフルエンサー活用のポイントは、以下のとおりです。
- フォロワー数よりも商品との親和性を重視
- 自然な商品紹介ができるクリエイティブ力
- 視聴者との良好なコミュニケーション
特に重要なのは、インフルエンサーの個性や世界観を活かした自然な商品紹介です。強制的な宣伝ではなく、日常的なシーンでの使用や、実体験に基づくレビューなど、視聴者が共感できる形での発信が効果的です。
また、インフルエンサーのファン層の特性を理解し、商品のターゲット層との相性を慎重に見極めることも、成功につながる要素となります。
トレンドを取り入れる
TikTokでは、最新トレンドを取り入れたコンテンツが高い注目を集める傾向にあります。流行のBGMやハッシュタグチャレンジに合わせた投稿は、自然な形での拡散が期待できます。
効果的なトレンド活用のポイントは、以下のとおりです。
- 人気楽曲やサウンドの積極的な使用
- 流行中のハッシュタグへの参加
- 話題のエフェクトやフィルターの活用
- タイムリーな投稿タイミングの選択
特に注目すべきは、ハッシュタグチャレンジへの参加です。商品の特徴を活かしながら、流行の演出や表現方法を取り入れることで、より多くのユーザーの目に触れる機会を創出できます。
ただし、トレンドの採用には素早い判断と実行が求められます。TikTokの流行は短期間で移り変わるため、常に最新の動向を把握し、迅速な対応を心がける必要があります。
まとめ|TikTok売れする仕組みを理解しよう
TikTok売れは、短尺動画の特性を活かした新しい販促手法として、多くの企業で成果を上げています。ファイブミニやリップモンスター、地球グミなど、さまざまな商品がTikTokをきっかけに爆発的な売上を記録しました。
成功のカギは、若年層への効果的なアプローチ、インフルエンサーの戦略的な活用、そしてトレンドの取り入れにあります。特に大切なのは、TikTokの特性を理解し、自然な形での商品訴求を心がけることです。
これからTikTok売れを目指す企業は、まず成功事例から学び、自社商品に合わせた効果的なアプローチを検討してみましょう。