TikTok運用型広告のやり方5ステップ!設定から成果を出すポイントまで紹介

企業のマーケティング担当者として、TikTok運用型広告のやり方について、何から手をつければいいか迷う担当者の方もいるかもしれません。
若年層へのアプローチに有効だと分かっていても「設定が複雑そう」「動画制作のハードルが高い」といった理由で、導入に踏み切れないケースは少なくありません。
広告の管理画面は専門用語が多く、費用や効果測定の方法も未知数なため、担当者一人で実施するのは簡単ではないでしょう。
この記事では、TikTok運用型広告のやり方を、アカウント開設ゼロの段階から、成果を出すための運用ポイントまで解説します。
TikTok運用型広告を始めようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
TikTok運用型広告とは

TikTok運用型広告とは、広告の配信期間や予算、ターゲットなどを企業側が自由に設定できる広告出稿サービスです。
専門の広告管理ツール(TikTok広告マネージャー)を使って、リアルタイムで効果を確認しながら広告を改善していけるのが特徴です。
従来の「予約型広告」と違い、決まった広告枠を大きな予算で買い取る必要がありません。そのため、少額の予算からでも気軽に始めることが可能です。
具体的には、以下のような柔軟な運用ができます。
- 予算や期間を自由に設定・変更する
- 年齢や興味関心でターゲットを細かく絞る
- 広告の効果をデータで見て改善する
自社の目的に合わせて運用を設定できるため、これからTikTok運用を始めようとする方におすすめです。
TikTok運用型広告で選べる配信先
TikTok運用型広告の配信先は、TikTokアプリ内だけに限りません。
TikTokを運営するByteDance社の関連アプリや、提携する多くのアプリネットワークにも広告を配信可能で、幅広いユーザー層にアプローチできます。
広告管理画面では、広告の目的に合わせて配信先を自由に選択したり、自動で最適化したりできます。主な配信先は以下のとおりです。
TikTok | アプリ内の「おすすめ」フィードなど |
BuzzVideo/TopBuzz | 情報コンテンツアプリ |
Pangle | Pangle:多様なジャンルの提携アプリネットワーク |
幅広い配信ネットワークの中から最適な場所へ広告を届けられる点も、TikTok運用型広告の強みの一つです。
予約型広告との違い
TikTok広告には、運用型広告のほかに「予約型広告」形式も存在します。
予約型広告は、決まった期間・金額で広告枠を買い取る、テレビCMに近いイメージの広告です。大規模なプロモーションで一気に認知度を高めたい場合に利用されます。
それぞれの特徴を理解し、自社の目的に合った形式を選ぶ必要があります。両者の主な違いは以下のとおりです。
運用型広告 | 予約型広告 | |
目的 | 認知拡大から獲得まで幅広く対応 | 主に認知度向上・ブランディング |
費用 | 少額からでも出稿可能 | 数百万円以上が目安 |
ターゲティング | 年齢・地域・興味など細かく設定可 | 大まかな設定のみ |
改善 | リアルタイムで効果を見ながら調整可 | 原則として配信中の変更は不可 |
柔軟な運用で費用対効果を高めていきたい場合は運用型広告が適しています。
TikTok運用型広告が持つ4つの強み

TikTok運用型広告には、他のSNS広告にはない独自の強みが数多く存在します。
なぜ多くの企業がTikTok広告に注目しているのか、その理由がわかれば、自社で活用する際のイメージがより明確になるでしょう。
主な強みとして、以下の4つの点が挙げられます。
- 記憶に残る動画の高い訴求力
- 購買力のあるユーザー層への接触
- 広告感を抑えるインフィード配信
- 誰でも動画を制作できる便利機能
ここでは、それぞれの強みを詳しく確認していきましょう。
記憶に残る動画の高い訴求力
TikTok広告の最大の強みは、音声と映像を組み合わせた動画による、記憶に残りやすい高い訴求力です。
人間が受け取る情報の多くを視覚と聴覚が占めているからです。
TikTokは、スマホ全画面に表示される映像と、流行の音楽や効果音を組み合わせることで、ユーザーの感覚に強く訴えかけます。
そのため、他の広告形式よりもブランドや商品の印象が記憶に定着しやすくなります。
静止画では伝わりにくい、商品やサービスの魅力を直感的に訴求できるのが特徴です。
具体的には、以下のような広告が可能になります。
アパレル | 服の素材感や、動いたときのシルエットを見せる |
コスメ | メイクのビフォーアフターや、テクスチャーの質感を伝える |
食品 | 調理中のシズル感や、食べる瞬間の美味しそうな表情を映す |
五感に訴えられるTikTok動画は、ユーザーに強い印象を残るため、商品やサービスの認知度向上に役立つでしょう。
購買力のあるユーザー層への接触
TikTok広告は、10代だけではなく購買力のある20代以上の幅広いユーザー層に接触できる強みを持っています。
「TikTokは若者向け」のようなイメージがありますが、実態は大きく変化しています。
総務省の調査によると、20代の利用率は50%を超え、30代以上の利用者も着実に増加傾向にあります。そのため、多様な世代に対して商品やサービスを訴求できるプラットフォームとして注目されています。
総務省の「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」では、年代別の利用率が示されています。
10代 | 70.0% | ・3人に2人以上が利用・圧倒的な人気を誇る世代 |
20代 | 52.1% | ・2人に1人が利用・アクティブユーザー層 |
30代 | 32.0% | ・3人に1人が利用・着実な浸透 |
40代 | 26.8% | ・4人に1人が利用・安定した利用率 |
50代 | 25.4% | ・4人に1人が利用・着実に利用率増加 |
上記データから、20代の2人に1人、30代の3人に1人が利用していることがわかります。
TikTokはもはや若者だけのアプリではありません。購買力のある幅広い世代のユーザーに直接アプローチできる、費用対効果の高い広告媒体と言えるでしょう。
広告感を抑えるインフィード配信
TikTok運用型広告は「インフィード形式」のため、広告特有の売り込み感を抑えて配信できます。
インフィード広告とは、一般ユーザーの投稿と投稿の間に、同じフォーマットで自然に表示される広告のことです。
「おすすめ」フィードに表示されるため、ユーザーは普段見ている動画と同じ感覚で広告に触れるため、広告への抵抗感を和らげるでしょう。
一般の投稿と同様に「いいね」や「コメント」、「シェア」といったアクションも可能です。広告感をさらに抑えるための工夫には、以下のようなものがあります。
- ユーザー投稿(UGC)を意識した自然な動画を作る
- トレンドのハッシュタグを付けて投稿に溶け込ませる
- インフルエンサーを起用し第三者目線で紹介してもらう
コンテンツに自然に溶け込むことで、ユーザーに受け入れられやすい形で情報を届けられる点が大きな強みといえるでしょう。
誰でも動画を制作できる便利機能
TikTokには、動画制作の専門知識がなくても、手軽に広告用の動画を作成できる便利な機能が備わっています。
広告管理ツール内に「TikTok動画エディター(無料の動画制作ツール)」が標準搭載されています。
高価な編集ソフトや専門スキルがなくても、このツールを使えば誰でも質の高い動画広告を制作できるでしょう。
このツールには、広告制作をサポートする以下のような機能があります。
動画テンプレート | 用意された型に写真や動画をはめ込むだけで完成 |
スマート動画 | 素材をアップするだけでAIが自動で編集してくれる |
豊富な楽曲 | 商用利用可能なBGMが無料で使える |
テキストやスタンプ | 動画内に文字や装飾を簡単に追加できる |
上記のように、動画制作のハードルを大きく下げる機能が充実しています。
TikTok運用型広告の始め方5ステップ

ここからは、実際に広告を配信するまでの流れを、5つのステップに分けて具体的に解説します。
手順通りに進めれば、初めての方でも迷うことなく設定を完了できるでしょう。
全体の流れは以下のとおりです。
- STEP1: 広告アカウントを開設する
- STEP2: 目的と予算のキャンペーンを設定する
- STEP3: 誰に届けるかターゲティングを決める
- STEP4: 配信する動画クリエイティブを準備する
- STEP5: 審査後に広告配信を開始する
一つひとつのステップを順番に進めていきましょう。
STEP1: 広告アカウントを開設する
まず初めに、広告を配信・管理するための専用アカウントを開設しましょう。
このアカウントは、普段動画を見るための個人アカウントとは別のものです。広告の作成や効果測定、支払い設定といった、すべての広告活動を行うためのアカウントです。
アカウントの作成は、TikTok広告マネージャーの公式サイトから行えます。画面の案内に従って進めれば、誰でも簡単に設定を完了できます。
主な手順は以下のとおりです。
- TikTok広告マネージャーにアクセスする
- メールアドレスまたは電話番号で本人確認を行う
- 会社名や広告を配信する業界などの情報を入力する
- 利用規約に同意し、登録を完了させる
これで広告を配信するための準備が整いました。まずはこのアカウント開設を済ませ、次のステップに進みましょう。
STEP2: 目的と予算のキャンペーンを設定する
次に、広告配信の「目的」と「予算」を決めるキャンペーン設定を行います。
キャンペーンは、広告活動全体の設計図のようなものです。ここで目的を明確にすれば、TikTokのシステムがその目的に合わせて広告の配信先を自動で最適化してくれます。
広告管理画面では、以下のような目的を選択できます。
認知度向上 | より多くの人に広告を見てもらう |
Webサイトへの誘導 | 自社のサイトにアクセスしてもらう |
コンバージョン獲得 | 商品購入や問い合わせを促す |
目的を選んだら、キャンペーン全体の予算を設定します。予算には「日別予算」と「通算予算」があり、広告費の上限を管理できます。
最初に目的と予算をしっかり固めることが、効果的な広告運用には必要です。
STEP3: 誰に届けるかターゲティングを決める
キャンペーン設定の次は、広告を「誰に、どこに」届けるかを決めるターゲティング設定です。
ターゲティングを精密に行うことで、広告に関心を持つ可能性の高いユーザーに絞って配信でき、広告費の無駄をなくせるからです。
TikTok広告では、以下のような条件を細かく設定できます。
デモグラフィック | 年齢、性別、言語、所在地 |
興味・関心 | ゲーム、美容、旅行などユーザーが関心を持つカテゴリ |
行動 | 「いいね」やコメントをした動画のカテゴリ |
配信面 | TikTok、Pangleなど広告を表示する場所 |
設定を組み合わせることで、自社の商品やサービスに最適なターゲット層を狙い撃ちできます。精度の高いターゲティングができるように、具体的にターゲット層を決めておきましょう。
STEP4: 配信する動画を準備する
ターゲティングが完了したら、実際に配信する動画を準備します。
動画は、ユーザーの目に直接触れる広告の「顔」となる部分です。どれだけ良いターゲティングをしても、動画自体に魅力がなければユーザーの心は動きません。
動画は、あらかじめ制作したものをアップロードします。もし手元に素材がない場合でも、
TikTok広告マネージャーには、以下のような無料の動画制作ツールが備わっています。
- 写真やテキストをはめ込むだけで動画が完成
- 素材をアップするとAIが自動で編集してくれる
ツールを活用すれば、専門知識がなくても手軽に質の高い動画を作成できます。
ユーザーの興味を惹きつける動画を用意すれば、効果的な広告運用ができるでしょう。
STEP5: 審査後に広告配信を開始する
最後に、設定した内容と動画を提出し、広告の審査を受けます。
TikTokでは、広告がプラットフォームのポリシーに準拠しているかを確認するための審査が行われます。これは、ユーザーにとって安全で快適な広告環境を保つために必要な審査です。
審査は通常、24時間以内に完了します。広告ポリシーに違反していると判断された場合は、修正して再申請しなければなりません。
審査でチェックされる主な項目は以下のとおりです。
- 誤解を招く表現や誇大広告の有無
- 禁止されている商品やサービスの宣伝でないか
- 著作権や商標権を侵害していないか
無事に審査を通過すれば、設定したスケジュールに沿って広告配信が開始されます。これで出稿までの全ステップが完了です。
TikTok運用型広告で成果をだすための5つのポイント

広告の配信設定を完了させるだけでは、十分な成果は得られません。大切なのは、配信を開始した後にどのように運用していくかです。
ここからは、TikTok運用型広告で成果を出すために大切な、5つのポイントを解説します。
- 目的を明確にする
- 人気広告を分析する
- KPIを設定する
- 成果の出る動画を設計・作成する
- 改善を繰り返す
それぞれのポイントを詳しく説明します。
目的を明確にする
成果を出すためには、広告を配信する目的を明確にしましょう。
目的が曖昧なままでは、どのような動画を作り、誰に届け、何を成果とするのか、すべての判断基準がぶれてしまいます。目的が明確であれば、一貫性のある広告戦略を立てることが可能です。
広告の目的は、ビジネスの段階によって異なります。
例えば、以下のように目的を設定できます。
認知拡大 | 新商品の発売を、とにかく多くの人に知ってもらいたい |
見込み客獲得 | 自社サイトへのアクセスを増やし、メールアドレスを登録してもらいたい |
コンバージョン | ECサイトで商品を購入してもらいたい |
まず「この広告で何を達成したいのか」をはっきりさせることが大切です。
配信の軸がぶれないように、最初に目的をしっかり決めておきましょう。
人気広告を分析する
成果の出る広告を作るためには、すでに成果を出している人気広告の分析が有効です。
人気のある広告には、ユーザーの心を掴む共通のパターンやヒントが隠されています。ゼロから考えるよりも、成功事例から「なぜこの広告は人気なのか」を学ぶ方が、効率的に効果的な動画を作成できます。
TikTokには、優れた広告事例を閲覧できる「トップ広告」という公式機能があります。この機能を活用すれば、国や業界、期間などを絞って人気広告を検索できます。
参照:トップ広告について|TikTokビジネスヘルプセンター
分析する際は、以下の点に注目しましょう。
- 動画の構成(冒頭の掴み、展開、最後の訴求)
- 使われている音楽やエフェクトの種類
- コメント欄のユーザーの反応
成功事例を参考にすれば、自社の広告制作に活かせるアイデアが見つかります。まずは、どのような広告がユーザーに受け入れられているのかを確認してみましょう。
KPIを設定する
広告の目的が決まったら、達成度を測るための具体的な数値目標(KPI)を設定しましょう。
KPIを設定すれば、広告運用の成果を客観的に評価できるからです。「なんとなく効果があった」などの曖昧な判断ではなく、データに基づいて広告がうまくいっているか、改善が必要かを判断するために必要な指標です。
設定するKPIは、広告の目的によって異なります。それぞれの目的に応じたKPIの例は以下の通りです。
認知拡大が目的の場合 | ・インプレッション数 ・リーチ数 ・動画視聴数 |
誘導が目的の場合 | ・クリック数 ・クリック率(CTR) |
コンバージョンが目的の場合 | ・コンバージョン数(CV数) ・獲得単価(CPA) |
目的に連動したKPIを最初に設定しておけば、日々の運用で何を目指すべきかが明確にできるでしょう。
動画を設計・作成する
TikTok広告の成果は、コンテンツの質により左右されます。
ユーザーは、フィードを素早くスワイプしながらコンテンツを消費しています。そのため、一瞬で興味を引き、最後まで見てもらえるような工夫が凝らされた動画でなければ、すぐにスキップされてしまうからです。
成果の出る動画には、いくつかの共通点があります。広告を作成する際には、以下のポイントを意識しましょう。
- 冒頭にインパクトのある映像や問いかけを入れる
- 流行の音楽やエフェクトを活用する
- ユーザー投稿風(UGC)に見せる
- 縦型動画で作成する
上記のようなポイントを押さえて動画を設計・作成する必要があります。ユーザーに「広告」ではなく「面白いコンテンツ」として見てもらうことを目指しましょう。
改善を繰り返す
広告は配信して終わりではなく、継続的に効果測定と改善を繰り返す必要があります。
運用型広告の利点は、リアルタイムのデータに基づいて改善できる点にあります。配信結果を分析し、より良い成果を目指してPDCAサイクルを回し続ければ、費用対効果を最大化できます。
具体的な改善アクションとしては、A/Bテストが有効です。これは、複数のパターンの広告を同時に配信し、どの広告が最も効果的かを比較検証する手法です。
例えば、以下のような要素を変えてテストしてみましょう。
- 動画の冒頭3秒間の内容
- BGMの種類(アップテンポな曲vs静かな曲)
- テロップの文言やデザイン
データに基づいた小さな改善を積み重ねることが大切です。テストを繰り返せば、自社だけの効果的な動画パターンをみつけていけるでしょう。
まとめ|TikTok運用型広告のやり方をマスターし成果を出そう
今回は、TikTok運用型広告の基本的な仕組みから、具体的な始め方の5ステップ、成果を出すための運用ポイントまで解説しました。
TikTok広告は、もはや専門家だけのものではありません。
少額の予算からでもスタートでき、広告の目的や届けたい相手を柔軟に設定できるため、あらゆる企業にとって強力なマーケティングツールとなり得ます。
「動画制作は難しそう」「設定が複雑そう」と感じていた方も、本記事で紹介したポイントや無料の制作ツールを活用すれば、きっとそのハードルは越えられるはずです。
大切なのは、最初から完璧を目指すのではなく、まず始めてみて、配信結果のデータを基に改善を繰り返していくことです。
まずは広告アカウントの開設からチャレンジしてみてください。小さなテストを積み重ねていけば大きな成果につながっていくでしょう。