看護師の中途採用の離職率は高い!?後悔しない職場選びのチェック項目とは?

看護師として中途採用で転職を考えているけれど、「また同じ失敗を繰り返すのでは」と不安を感じていませんか?

たしかに、既卒看護師の離職率は16.1%と新卒の約2倍高く、人間関係や労働環境に悩んで離職する看護師は少なくありません。

この記事では、看護師の中途採用における離職率が高い4つの理由と、後悔しない職場選びの具体的なチェック項目を紹介します。

労働環境と夜勤負担の実績、給与体系と福利厚生の充実度、教育体制とキャリア支援の有無、メンタルヘルス支援の実施状況を、面接や施設見学でどう確認すればいいのかが分かります。

看護師の中途採用でなかなか採用されなかったり、中途採用での職場選びに失敗したくない方は、ぜひ参考にしてください。

目次

既卒看護師の離職率は16.1%

既卒看護師の離職率は16.1%です。これは新卒看護師の8.8%と比べて約2倍高い数値であり、決してあなただけが悩んでいるわけではありません。

日本看護協会が2024年3月に公表した「2024年病院看護実態調査」によれば、2023年度の正規雇用看護職員全体の離職率は11.3%でした。

前年度の11.8%から0.5ポイント改善したものの、依然として10人に1人以上が職場を離れている計算になります。

出典:日本看護協会「正規雇用看護職員の採用者数・退職者数・離職率

注目すべきは、既卒採用者の離職率16.1%の数字です。

新卒の8.8%と比較すると、既卒は約1.8倍も離職しやすい環境に置かれています。

この背景には、経験者としての過度な期待、研修体制の不足、ライフステージの変化など、既卒特有の負担があります。

一方で、看護師全体の離職率11.3%は、日本の一般職の平均離職率12.1%を下回っています。

出典:厚生労働省「令和5年の常用労働者の動き

看護師の離職率は決して異常に高いわけではなく、むしろ職場環境の改善次第で十分に働き続けられる可能性がある職種です。

今あなたが感じている孤独や不安は、あなた個人の能力不足ではなく、既卒採用の構造的な課題の表れかもしれません。

まずは「辞めたいと思うのは当然」と自分を認めてあげましょう。

看護師の離職率が高い4つの理由

既卒看護師の離職率16.1%の数字の裏には、看護業界全体が抱える構造的な課題があります。ここからは、離職率が高い4つの理由を解説していきます。

人手不足による過酷な労働環境

人手不足による過酷な労働環境は、看護師の離職率を押し上げる要因の一つです。

日本の看護師1人あたりが担当する患者数は、米国の約2倍とされています。

受け持ち患者が増えれば、本来の看護ケアに加えて電子カルテ入力、書類作成、患者家族への対応といった業務が終わらず、残業が常態化します。

人手不足が引き起こす主な問題は以下のとおりです。

人手不足による起きる主な問題
  • 受け持ち患者数の増加
  • 残業の常態化
  • 夜勤や交代制による休息不足
  • 疲労によるミスへの恐怖
  • メンタルヘルス不調

日本看護協会の調査では、看護師の約4割が「職場にメンタルヘルス不調で休職・治療中のスタッフがいる」と回答しています。

また、離職理由の約6割が「人手不足で仕事がきつい」などのデータもあります。

この状況は「負のループ」を生み出します。

過酷な環境が離職を招き、残されたスタッフの負担がさらに増す、そしてまた誰かが辞めていく、あなたが今感じている限界は、このループの中にいるからかもしれません。

もしあなたの職場で「休憩が取れない」「夜勤明けでも帰れない」といった状況が続いているなら、それは我慢すべき環境ではありません。

次の職場を選ぶ際は、適正な人員配置がされているかを確認しましょう。

ライフステージの変化に伴う制約

ライフステージの変化に伴う制約は、特に女性看護師にとって離職を決断させる要因です。

結婚、出産、子育て、介護といった人生の節目で、夜勤や長時間労働との両立が困難になってしまうからです。

ライフステージによる主な制約は以下のとおりです。

ライフステージの変化による主な制約
  • 夜勤や交代制勤務の継続困難
  • 子どもの病気による急な欠勤
  • 体力的な負担への不安
  • キャリアアップ機会の停滞
  • 土日祝日の勤務調整の難しさ

特に深刻なのは、パートナーの協力が得られずワンオペ育児となるケースです。

夜勤ができなくなれば常勤としての勤務が難しくなり、パートへの転換やキャリアの中断を余儀なくされます。

一方で、院内保育所の完備や短時間勤務制度の活用により、急性期病院でも働き続ける看護師もいます。

クリニックや訪問看護ステーションなど、残業が少なく日勤中心の職場へ転職する選択肢もあります。

あなたが今「家庭との両立は無理かもしれない」と感じているなら、それは職場の理解不足が原因かもしれません。

次の職場を選ぶ際は、子育て中の看護師が実際に働いているか、柔軟な勤務体制があるかを確認しましょう。

現場特有の人間関係

現場特有の人間関係は、看護師の離職を後押しする深刻な要因です。

新人看護師の主な退職理由として「上司・同僚との人間関係」が上位に挙げられています。

看護師の職場は病棟や施設など閉鎖的な環境が多く、狭い空間に看護師、医師、薬剤師など多くのスタッフが集まります。この構造自体が、トラブルを生みやすくしているのです。

人間関係によるストレスには、以下のようなものがあります。

人間関係による主なストレス
  • 上司や先輩からの理不尽な叱責
  • いじめや不適切な指導
  • 医師とのコミュニケーション困難
  • 患者からのハラスメント
  • 子育て中スタッフへの複雑な感情

特に深刻なのは、閉鎖的な環境ゆえに「人の目が届かないところで暴言やハラスメントが行われる」状況です。

医師の指示と患者の要望の板挟みになり、双方の間を取り持つことに疲弊する看護師も少なくありません。

人間関係の悪化は、意見が言いづらくなり医療ミスのリスクを高めます。

慢性的な疲労や不眠を引き起こし、心身の不調から仕事を続けられなくなる看護師もいるのです。

もしあなたが「挨拶をしても返ってこない」「相談できる人がいない」と感じているなら、その職場の人間関係は健全とは言えません。

次の職場を選ぶ際は、スタッフの人数に余裕があるか、教育体制が整っているかを確認しましょう。

再就職が容易なことによる定着難

再就職が容易なことによる定着難は、看護師の売り手市場がもたらす皮肉な構造です。

看護師は慢性的な人手不足により、病院だけでなく訪問看護、クリニック、企業、介護施設など選択肢が非常に多く、ブランクがあっても再就職しやすい環境にあります。

転職のハードルが低いことで生まれる影響には、以下のようなものがあります。

再就職が用意なことによる生まれる影響
  • 困難に直面した際の早期離職
  • 職場調査不足によるミスマッチ
  • 改善努力より転職を選ぶ心理
  • 施設側の定着支援意識の低下

特に問題なのは、「石の上にも三年」などの考え方が崩壊していることです。

人間関係や業務の辛さを感じた際、職場環境の改善を待つよりも、転職の解決策が容易に選ばれてしまいます。

入職後3ヶ月や1年以内に辞める早期離職も後を絶ちません。

「思っていたのと違う」と感じても、次の職場がすぐ見つかるため、同じような環境を選んでしまい再び離職する連鎖が起きやすいからです。

一方で、施設側も「辞めても次が入る」などの認識があれば、職場環境改善や中途入職者へのフォローアップ体制の強化に十分に取り組まないケースがあります。

あなたが今「ここが合わなければ次に行けばいい」と感じているなら、一度立ち止まってみましょう。

次の職場を選ぶ際は、メンター制度や教育体制が整っているか、働きやすい環境が本当に整備されているかを慎重に確認しましょう。

後悔しない職場選びのチェック項目

前職と同じ失敗を繰り返さないためには、具体的な判断基準を持つことが必要です。

求人票の表面的な情報だけではなく、実際の労働環境や職場の体制を見極める視点が求められます。

「面接で聞きにくい」と躊躇する気持ちもあるかもしれません。

しかし、あなたの心身の健康と今後のキャリアがかかっています。

確認すべきことは遠慮せずに質問しましょう。

ここからは、転職で後悔しないために必ず確認すべき4つのチェック項目を解説していきます。

労働環境と夜勤負担の実績

労働環境と夜勤負担の実績は、職場選びで優先すべき確認項目です。

求人票に書かれた情報だけでは、実態は分かりません。

面接や見学の際に、具体的な数字を確認すればブラック職場を避ける近道になります。

必ず確認すべき実績は以下のとおりです。

確認項目理想的な実績
夜勤回数2交代制は月4〜5回以下、3交代制は月8〜10回程度
勤務間インターバル夜勤明け後24〜48時間以上の休息
残業時間月5時間以内(月10時間未満なら良好)
有給取得率90%以上
年間休日120日以上

特に注意したいのは、夜勤明けの翌日が早出や日勤になっていないかです。

夜勤明けに十分な休息が確保されていない職場は、疲労が蓄積し心身を壊す原因になります。

2交代制の場合、日本看護協会のガイドラインでは月8回以下が最低ラインとされていますが、実際の負担軽減を考えると月4〜5回程度が理想です。

面接で「夜勤は月何回ですか」と聞きにくいかもしれません。

しかし、あなたの健康と今後のキャリアがかかっています。

遠慮せず具体的な数字を確認しましょう。

給与体系と福利厚生の充実度

給与体系と福利厚生の充実度は、長く働き続けられるかを左右する要素です。

月給の数字だけを見て判断すると、入職後に「思っていたより手取りが少ない」「子育てとの両立ができない」と後悔する原因になります。

求人票の表面的な情報だけではなく、実態を確認する必要があります。

給与体系で確認すべき項目は以下のとおりです。

確認項目チェックポイント
手当の内訳夜勤手当、住宅手当、資格手当などの総額
残業代サービス残業の有無、みなし残業の有無
賞与実績前年度の賞与(給与の何ヶ月分か)
昇給制度昇給の有無と頻度

月給30万円と書かれていても、夜勤手当が含まれているのか、基本給がいくらなのかで手取り額は変わります。

賞与も「給与の4ヶ月分」と書かれていても、基本給ベースなのか総支給額ベースなのかで金額が異なるため、前年度の実績を必ず確認しましょう。

福利厚生では以下の項目があるかチェックしましょう。

  • 子育て支援
  • 休暇制度
  • 住居支援
  • 教育支援

特に見落としがちなのが「隠れた福利厚生」です。

夜勤明けの仮眠室や休憩スペースの充実度、職員専用のカウンセリング制度、食事代負担などは、日々の働きやすさに直結します。

これらの情報は求人票だけでは分かりません。

面接や施設見学の際に「有給取得率は何%ですか」「院内保育所は夜間も利用できますか」と具体的に質問しましょう。

教育体制とキャリア支援の有無

教育体制とキャリア支援の有無は、中途入職者が孤立せず成長できるかを左右します。

「経験者だから大丈夫でしょ」と放置される職場と、プリセプター制度やクリニカルラダーで段階的に支援してくれる職場では、働きやすさが全く異なります。

離職率が低い職場ほど、教育体制が具体的に言語化されています。

教育体制で確認すべき項目は以下のとおりです。

確認項目チェックポイント
プリセプター制度中途入職者にも担当の先輩看護師がつくか
中途向け研修既卒者専用の研修カリキュラムがあるか
研修の開催時間勤務時間内に実施され、残業代が出るか
クリニカルラダーレベルに合わせた目標設定と評価があるか

特に注意したいのは、研修が「勤務時間内」に行われているかです。

時間外に研修が設定され、残業代も出ない職場は、スタッフの育成を軽視している可能性があります。

キャリア支援では以下のようなサポートがあるか確認しましょう。

  • 資格取得支援
  • キャリア相談
  • 外部研修補助

面接や病院見学では、「教育体制はどうなっていますか?」などの抽象的な質問ではなく、「中途入職の場合、プリセプターはつきますか?指導期間はどれくらいですか?」「今年度、資格取得支援制度を利用している方はいますか?」と具体的に聞きましょう。

曖昧な回答しか返ってこない職場は、実際には教育体制が整っていない可能性があります。具体的な数字や事例を示せる職場を選びましょう。

メンタルヘルス支援の実施状況

メンタルヘルス支援の実施状況は、心身の健康を守りながら働き続けられるかを判断する指標です。

看護師の約4割が「職場にメンタルヘルス不調で休職・治療中のスタッフがいる」と回答している現状を考えると、支援体制が整っているかは職場選びで欠かせません。

メンタルヘルス支援で確認すべき項目は以下のとおりです。

確認項目チェックポイント
ストレスチェック実施と集団分析による職場環境改善の有無
相談窓口院内相談窓口、産業医、外部カウンセラーの設置
復職支援休職者がスムーズに復職できるプログラムの有無
管理職研修師長や主任のメンタルヘルス研修受講状況

特に注意したいのは、ストレスチェックを「やっているだけ」の職場です。

チェック後の集団分析を行い、その結果を職場環境改善に繋げているかが、本当に支援体制が整っているかの分かれ目になります。

職場見学の際には、スタッフの表情や挨拶の有無にも注目しましょう。

挨拶が少ない、怒鳴り声が聞こえる、雰囲気が暗い職場は、メンタルヘルスに配慮されていないサインです。

あなたの心の健康を守るのは、あなた自身です。

次の職場では、相談しやすい雰囲気があるか、支援体制が具体的に整っているかを必ず確認しましょう。

まとめ|看護師の中途採用で最適な職場を見つけるためには事前に確認しよう

看護師の中途採用では、既卒の離職率が16.1%と新卒の約2倍高い現実があります。

この数字は、あなた個人の問題ではなく、人手不足、ライフステージの変化、人間関係、再就職の容易さなどの構造的な課題の表れです。

次の職場選びで同じ失敗を繰り返さないためには、求人票の表面的な情報だけで判断してはいけません。

労働環境と夜勤負担の実績、給与体系と福利厚生の充実度、教育体制とキャリア支援の有無、メンタルヘルス支援の実施状況を、面接や施設見学で具体的な数字や事例とともに確認しましょう。

「聞きにくい」と躊躇する気持ちもあるかもしれません。

しかし、あなたの健康と今後のキャリアがかかっています。

遠慮せず質問し、曖昧な回答しか返ってこない職場は避けるべきです。

看護師の中途採用は、転職市場が活発だからこそ、慎重に職場を選ぶ必要があります。

この記事で紹介したチェック項目を活用し、あなたが安心して長く働ける職場を見つけてください。

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