Z世代の流行ジャンルからわかるZ世代の主な価値観や流行傾向

近年、Z世代の流行はこれまでの常識とはまったく異なる形で生まれています。

テレビや雑誌といった大規模メディアからではなく、SNSやコミュニティを中心に、身近な人やナノインフルエンサーの発信から自然に広がるのが特徴です。

しかし、こうした流行は従来型のマーケティングでは捉えきれません。

本質を理解しないままアプローチすれば、Z世代からは「仕掛けられた流行」と見抜かれ、かえって距離を置かれるリスクさえあります。

そこで本記事では、Z世代の流行を形づくる 7つの注目ジャンル と、背景にある価値観や行動傾向を整理します。

ファッションや食、SNSの使い方から、コミュニティ発信型のトレンドまでを具体的に解説し、マーケティングに活かせるヒントを探っていきましょう。

Z世代の流行や価値観を理解したい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

Z世代の流行を読み解く7つの注目ジャンル

Z世代の間で生まれる流行は、日常のあらゆるシーンに広がっています。

ファッションや食べ物からSNS、言葉遊びに至るまで、彼らの価値観や生活スタイルがそのまま反映されるのが特徴です。

ここでは、2025年の7つのジャンルを整理し、どのような流行が注目されているのかを見ていきましょう。

ファッション

2025年のZ世代ファッションは、個性と遊び心を大切にしながら、ガーリーさや幻想性、そして自由な組み合わせを楽しむスタイルが目立っています。

これまで主流だったY2Kブームが落ち着きを見せ、新たな価値観を反映したトレンドが広がっています。

トレンドのキーワードとスタイルをまとめると、以下のとおりです。

パステルカラーパステルピンクをはじめ、ライトブルーやライラックなどやさしい色合いが全体的なトレンドに
ウィッシュコア・バレエコア・ネオ森ガールガーリーで幻想的な雰囲気やナチュラル志向を取り入れたスタイルが台頭
平成リバイバル+グランジ平成時代のファッション要素が再評価され、グランジテイストと融合
華やかな装飾主義存在感のあるシルエットや装飾性の高いアイテムがカムバック

SNSを通じてトレンドが瞬時に拡散され、国境や固定的なファッションリーダーを越えて多様なスタイルが広がっています。

従来の「何が正解か」ではなく、自分の感覚や世界観に合ったファッションを取り入れる流れが、Z世代のファッションを形づくっています。

食べ物・カフェ

2025年のZ世代が注目する食べ物やカフェは、SNS映え・健康志向・体験性をキーワードに進化しています。

見た目の可愛さや話題性はもちろん、推し活や交流の場としての機能も重視されており、食は単なる「味わうもの」から「楽しむ体験」へと広がっています。

Z世代に人気の食べ物・スイーツは、以下のとおりです。

  • アサイーボウル
  • フローズンヨーグルト
  • トゥンカロン
  • 10円パン
  • ドバイチョコレート

他にもZ世代に人気のカフェには、以下のようなものがあります。

  • 無機質カフェ
  • 体験型カフェ
  • 夜カフェ
  • 推し活カフェ

Z世代にとって、食べ物やカフェを選ぶ際の基準は「映え」だけではありません。

SNSで情報を収集し、写真映えするかどうかを意識する一方で、実際に味やクオリティの高さも重視する傾向が強まっています。

健康志向の高まりから、ビーガンやオーガニック、グルテンフリーといった多様な食文化に対応する店舗も支持を得ています。

美容・コスメ

Z世代にとって美容・コスメは「価格以上の満足感」と「ブランドの世界観」の両立が必要です。

コスパに優れたプチプラを日常に取り入れつつ、憧れのデパコスで特別感を楽しむスタイルが広がっています。

rom&nd(ロムアンド)高発色・色持ちが良いリップで支持。プチプラながらデザイン性も高評価
CANMAKE(キャンメイク)種類が豊富で「手軽にトレンドを試せる」点が魅力
CEZANNE(セザンヌ)ドラッグストアで手軽に購入可能で、カラー展開も幅広い
Dior(ディオール)かわいいパッケージとブランド力で憧れの存在
Curel(キュレル)敏感肌向けで、マスク緩和後に注目度上昇
ByUR(バイユア)美容液感覚のベースメイクが特徴

Z世代は、「プチプラで盛れる日常」+「デパコスで特別感」+「肌に優しいケア」を使い分け、シーンや目的に合わせた美容スタイルを築いています。

アプリ・SNS

Z世代にとって、SNSやアプリは日常の情報収集・自己表現・コミュニケーションの中心的な存在です。

利用するサービスごとに目的を使い分けるのが特徴で、従来の人気アプリに加えて「盛らないリアル」を重視する新しいSNSも広がりを見せています。

主要なSNSの利用傾向は、以下のとおりです。

Instagram・ファッションやグルメ、インテリアなどの情報収集やショッピング機能の活用が中心
・ハッシュタグ検索で欲しい情報を探す行動が定着
YouTube・動画コンテンツ視聴の場として依然利用率が高い
・エンタメから学習まで幅広い用途で支持
LINE・もっとも基本的な連絡ツール
・友人とのグループチャットや日常的なやり取りに必須
TikTok・息抜きや娯楽の中心SNS
・おすすめ動画や参加型コンテンツを通じて流行の発信源
BeReal.・加工や演出を排したリアルな日常をシェアできる「映えないSNS」
・通知後2分以内の撮影
・投稿ルールが独自で、飾らない人間関係を好むZ世代の価値観と一致

Z世代は「映えるSNS」と「リアルを重視するSNS」をシーンごとに使い分けるのが特徴です。

流行は単なる一過性のブームではなく、仲間と共有するための会話の通貨として機能し、FOMO(取り残される不安)や「自分らしい発信」への欲求と強く結びついています。

言葉・ネタ

Z世代における流行語やネタは、SNSと密接に結びつき、単なる会話の装飾ではなく「共感の通貨」として機能しています。

特にTikTokやSimejiのようなプラットフォームを通じて、リズム感やユーモア、シンプルな感情表現を持つ言葉が日常会話にまで広がるのが特徴です。

2025年上半期に流行した代表的な言葉・ネタをまとめると、以下のとおりです。

エッホエッホ・フクロウの赤ちゃんの写真に添えられたキャプションが発端
・TikTokで走る動きを真似た投稿がバズって拡散
今日ビジュいいじゃん・アイドルグループ「M!LK」の楽曲フレーズが由来
・音源に合わせた動画投稿で浸透
〇〇界隈・「推し活界隈」「風呂キャンセル界隈」など、趣味や価値観ごとのコミュニティを指す表現
メロい・「エモい」をさらに推し活向けに特化した言葉
・「推しにメロメロ」という意味で日常的に使用
ほんmoney.・インフルエンサーkemioの発言から拡散

Z世代の流行語やネタには、以下のような共通点があります。

  • ユーモアと脱力感
  • SNS映え
  • 共感とリアルさ

Z世代の流行語やネタは「意味」そのものよりも雰囲気・使いやすさ・仲間と共有できる感覚が重視されています。

ガジェット・アイテム

Z世代のガジェット・アイテム選びは、単なる最新技術の追求ではなく、デザイン性・SNS映え・ノスタルジー・コスパといった価値観を重視しているのが特徴です。

最新機能だけではなく「持っていて映えるか」「自己表現につながるか」が購入理由の大きな軸となっています。

流行中の注目ガジェットには、以下のようなものがあります。

Nothing Phone (2a)・透明感のあるデザインで、SNSに投稿した際の映えを意識したスマホ
・コスパの高さも支持
ポータブルプロジェクター・TikTok Shopで人気
・Magcubicなどの小型モデルは手軽に大画面を楽しめ、友人とのシェア体験にも活用
レトロiPhone・古いデジカメ・2000年代の「ホームボタン付きiPhone」やフィルムカメラ
・荒い画質のデジカメは、Z世代にとって「懐かしくて新しい」エモさを生むアイテム
Polaroidやビニールレコード・アナログの魅力と現代技術を組み合わせたハイブリッドガジェットも注目

流行の背景にある価値観は、以下のとおりです。

  • SNS映えするデザイン性
  • 遊び心と実用性のバランス
  • ノスタルジーと自己表現

Z世代のガジェット消費は「最新=正義」ではなく、自分らしさやSNSでの共有価値を満たすものが支持されているのが特徴です。

エンタメ・推し活

Z世代にとってエンタメと推し活は、単なる趣味を超えて「生きがい」や自己表現の一部となっています。

特に「推し」を中心にした小さなコミュニティの形成や、ショート動画をきっかけとした音源バズ、ファン自身が参加できるコンテンツが人気の特徴です。

流行中のアーティスト・コンテンツの一例を挙げると以下のとおりです。

AiScReam『愛♡スクリ〜ム!』・TikTokで火がついた音源バズの代表例
・学校やイベントでも広がり、ランキング1位を獲得
M!LK『イイじゃん』・リズム感の良いフレーズが「今日ビジュいいじゃん」などの流行語と共に拡散
Mrs. GREEN APPLE『クスシキ』・ダンス映えする振付が人気となり、ショート動画で拡散

背景にある価値観には、以下のようなものがあります。

  • つながるけど染まらない
  • 共感と自己表現
  • 推し消費の拡大

Z世代にとってエンタメや推し活は、仲間と共感しながら自分を表現する文化であり、生活の中心的な存在となっています。

Z世代の主な価値観

Z世代を理解するうえで欠かせないのが、彼らの根底にある価値観です。

従来の世代と比べて、SNSの普及や多様性の尊重といった環境要因の中で育ったZ世代は、他者との共感と「自分らしい自己表現」の両立を大切にしています。

流行や消費行動の背景にもこの価値観が強く影響しており、彼らの動向を読み解く際には避けて通れない視点となります。

ここではZ世代の主な価値観を一つずつ見ていきましょう。

共感と自己表現のバランス

Z世代を理解するうえで欠かせないのは、「共感」と「自己表現」を同時に重視する姿勢です。

彼らは仲間とのつながりを求めつつも、自分らしさを失わないことに強いこだわりを持っています。

その背景には、SNSを通じて常に多様な価値観に触れてきたことがあり、流行を「会話の通貨」として共有しながらも、自分の感性でアレンジして発信する文化が根付いています。

具体的な行動を挙げると以下のとおりです。

  • BeReal. で「盛らない日常」を投稿し、リアルな共感を得る
  • TikTokやInstagram で流行のフォーマットを使いつつ、自分らしい編集や表現を加える
  • 「〇〇界隈」 といった小規模コミュニティで、共通の趣味や価値観を持つ仲間とつながる

Z世代にとって流行は、単なるブームではなく、共感と自己表現を両立させるための重要な手段となっています。

取り残されないための参加型消費

Z世代の消費行動を語るうえで欠かせないのが「取り残されないための参加型消費」です。

FOMO(取り残される不安)を背景に、流行への参加自体が目的化し、仲間意識や自己表現と結びついている点に特徴があります。

彼らの価値観の中心には「つながるけど染まらない。」などの姿勢があります。

他者との共感を求めながらも、自分らしさを失わないことを大切にしており、この両立が流行参加の強い動機になっています。

具体的には、以下のような行動様式が見られます。

  • SNS上で「乗り遅れたくない」などの不安が参加する動機に
  • トレンドは「話題に参加できるための共通言語」として消費
  • 重要なのは「それをやっている自分がどう見えるか」であり、SNS投稿によって自己表現を成立
  • 「ゴシム4カット」や「BeReal.」など、誰でも気軽に参加できる形式が人気

Z世代にとって流行は「所有するモノ」ではなく「共感を得るために参加する体験」です。

企業がこの価値観に応えるには、単なる広告ではなく、ユーザー自身が流行の担い手となれる仕組みを用意し、共感から紹介へつながる設計を組み込むことが求められます。

SNSでの見せ方と共有欲求

Z世代がSNSを活用する理由の一つは、「共感」と「自己表現」の両立にあります。

流行の共有は「取り残されないため」の行動であり、同時に「流行を知っている=話題に参加できる」安心感につながっています。

Z世代の価値観の特徴を挙げると、以下のとおりです。

  • 流行を「会話の通貨」として扱い、乗り遅れないために積極的に共有
  • 徹底的に加工する「編集文化」と、BeReal.に代表される「ありのままを見せる文化」が共存
  • ゴシム4カットや音源バズなど、誰でも気軽に真似できる形式が支持

Z世代のSNS行動は「共感を得るための共有」と「自己表現を際立たせる演出」が同時に作用しており、そこにこそ彼ら特有のSNS文化の本質があります。

Z世代の価値観から見える主な特徴

Z世代の価値観は、考え方そのものだけではなく、日常の行動や消費スタイル、情報との向き合い方に色濃く表れています。

流行への関わり方やSNSでの振る舞いを見ると、彼らが何を大切にし、どのような基準で選択しているのかが具体的に浮かび上がります。

ここでは、Z世代の価値観を背景に生まれている代表的な特徴を整理し、行動としてどのように表れているのかを見ていきましょう。

参加型消費志向

Z世代の消費行動の特徴は、流行を「所有するもの」ではなく「参加するもの」として捉える点にあります。

彼らにとって流行は、商品そのものよりも話題に加わり、共感を共有するための手段として機能しているからです。

SNSで話題のスイーツやフォーマットに参加し、写真や動画として投稿することで、流行への関与が成立します。

ゴシム4カットや音源バズのように、誰でも気軽に参加できる形式が支持されやすいのもこの価値観の表れです。

Z世代にとって消費とは、モノを手に入れる行為ではなく、流行に参加し共感を得る体験そのものだと言えるでしょう。

SNS共有前提の自己認識

Z世代は、SNSで共有されることを前提に自分の行動や体験を捉える傾向があります。

SNSが日常的なコミュニケーションの場となっており、「自分がどう見えるか」「どう受け取られるか」が自己認識の一部として組み込まれているからです。

流行のスポットやコンテンツを体験する際も、投稿やストーリーでの共有を前提に選択が行われます。

BeReal.のようにリアルな日常を共有するSNSが支持されている一方で、加工や編集を施した投稿も併存しており、シーンに応じて見せ方を使い分けています。

Z世代にとってSNSは単なる発信手段ではなく、自己を認識し、他者との関係性を確認するための重要な基盤となっています。

流動的トレンド

Z世代の流行は、一つのトレンドに長くとどまらず、移り変わりが早いのが特徴です。

流行を完成形として消費するのではなく、その時々の話題や空気感を楽しむものとして捉えているからです。

SNSを中心に広がるトレンドは短期間で入れ替わり、次々と新しいフォーマットや言葉が生まれます。

過去に流行したコンテンツが形を変えて再利用されるケースも多く、流行は蓄積されながら循環しています。

Z世代にとってトレンドは固定的なものではなく、状況に応じて柔軟に受け取り、更新され続ける存在だと言えるでしょう。

Z世代の流行傾向

Z世代の流行は、従来の「メディア主導」や「有名インフルエンサー発信」とは異なり、小さな発信や共感の連鎖から広がるのが特徴です。

彼らにとって流行とは「単なるブーム」ではなく、自己表現や仲間との共感を生み出す会話の通貨として機能しています。

特に次の3つの傾向が顕著です。

  • ナノインフルエンサーの影響力
  • UGCから生まれる共感
  • コミュニティ発信型のトレンド

Z世代の流行傾向を理解するためにもそれぞれの項目を見ていきましょう。

ナノインフルエンサーの影響力

Z世代にとって流行の起点となるのは、企業の大規模キャンペーンではなく、身近で信頼できる人からの発信です。

フォロワー数1,000〜5,000人程度のナノインフルエンサーは、リアルで共感性の高い情報源として、流行の「火種」として機能しています。

具体的には以下のような特徴があります。

  • 広告色の強い発信よりも、距離感の近いナノインフルエンサーの体験談が支持
  • 個人的な日常や失敗談など、Z世代が「自分ごと化」できる発信
  • スメレビューアプリ「LIPS」などで見られるように、口コミ発信が大手広告以上の購買効果を生むケース

ナノインフルエンサーは、共感の連鎖を生み出す存在として、Z世代の購買行動やトレンド形成を左右しています。

企業にとっても、流行を一方的に仕掛けるのではなく、彼らと共に作り上げる戦略が不可欠です。

UGCから生まれる共感

Z世代にとって流行が広がる起点は、企業の仕掛けではなく、ユーザー自身の体験や発信=UGC(ユーザー生成コンテンツ)です。

UGCはリアルな共感を生み出し、拡散を促す「共感の連鎖」をつくる仕組みとして機能しています。

具体的にUGCが共感を生む理由は以下のとおりです。

  • 一般ユーザーやナノインフルエンサーの投稿は「リアルな体験」として受け入れられやすい
  • TikTokの音源バズや「ゴシム4カット」のような参加型コンテンツは、真似や編集を通じて次々と共感が広がりやすい
  • 自分の感性で加工して「同じ流行に違う自分で参加する」編集文化が浸透

Z世代の「信頼できる情報源」として機能しながら、共感→参加→拡散→紹介などの循環を生み出します。

コミュニティ発信型のトレンド

Z世代のトレンドは、もはやマスメディアや大企業の一方的な仕掛けからは生まれにくくなっています。

代わりに、共通の価値観を持つ小さなコミュニティ=ミニマルコミュニティからの発信が火種となり、リアルな共感をベースに拡散していくのが特徴です。

その理由は、彼らが「つながるけど染まらない」などの価値観を持ち、自分らしさを認め合える小さな集団の中でこそ深い安心感や信頼を得られるからです。

具体的には、以下のような形でコミュニティからトレンドが生まれやすくなっています。

  • リアルな共有
  • 参加型コンテンツ
  • 口コミとナノインフルエンサー

コミュニティ内での共感が発信の原点となるからこそ、トレンドは自然に広がり、最終的には「誰かに紹介したい」などのアクションに結びつきます。

企業にとっては、単に情報を届けるのではなく、ユーザーが共に作り上げたくなる環境を設計する必要があります。

2026年のZ世代のトレンド

2025年のトレンドがSNSやコミュニティを起点に広がったのに対し、2026年はさらに新しい動きが見え始めています。

情報過多の時代に「あえて距離を置く」姿勢や、モノの所有より体験を求める消費行動、そして働き方や生き方に対する価値観の変化が顕著になりつつあります。

2026年に注目すべきZ世代のトレンドは、以下の3つです。

  • アテンション・デトックス
  • モノ・コト・体験
  • キャリア・価値観

それぞれの内容を確認していきましょう。

アテンション・デトックス

2026年のZ世代トレンドとして注目されているのが、「アテンション・デトックス」です。

これは、スマホやSNSを完全にやめるのではなく、情報に反応し続ける状態から距離を置き、意識の向け先を自分で選び直す行動傾向を指します。

デジタルデトックスが「デバイスを断つ」ことに対し、アテンション・デトックスは「注意の使い方を整える」感覚に近い考え方です。

背景にあるのは、SNS上の「いいね」や既読といった可視化された評価への静かな疲労感です。不特定多数の投稿が流れ込む仕様変更も重なり、情報量を自分で制限する必要性が高まっています。

具体的には、以下のような傾向が見られます。

  • スマホを置いて目の前の体験に集中する旅行
  • 編み物や日記など手を動かすアナログな趣味
  • 少人数の信頼できる仲間とだけつながるクローズドSNS

Z世代はデジタルを否定しているわけではありません。

便利さは享受しながらも、「誰かに見せるため」ではなく「自分のため」に時間を使い直す動きが広がっています。

マーケティングの視点では、一方的に注目を集めようとする施策は逆効果になりかねません。企業は主役として目立つのではなく、ユーザー同士の共感や心地よい体験を支える「黒子」としての立ち位置を意識してみましょう。

モノ・コト・体験

2026年のZ世代の消費行動は、「モノを持つ」ことから「自分が納得できる体験」へとさらにシフトしています。

従来のコト消費(体験消費)が「旅行や鑑賞を楽しむ」段階だったのに対し、2026年はより個人的で内向きな体験が支持される傾向にあります。

具体的な行動をまとめると、以下のとおりです。

  • スマホを置いて目の前の体験に集中する旅行
  • BeReal.の写真をプリントして作るアナログアルバム
  • 3Dプリンターで自作するオリジナルキーホルダー
  • 好きなパーツを組み合わせるイタリアンチャーム

共通するのは、「自分の手で作る・選ぶ・組み合わせる」というプロセスに価値を見出している点です。完成品を購入するのではなく、自分だけのオリジナルに仕上げる過程そのものが体験として消費されています。

もう一つ注目したいのが、「界隈」と呼ばれるクローズドなコミュニティでの体験消費です。「魔法少女界隈」や「お薬手帳界隈」のように、狭く深い趣味の世界に没入し、少人数の仲間と共感を楽しむスタイルが広がっています。

Z世代の体験消費は、「誰かに見せる」から「自分を満たす」方向へ変化しています。マーケティングでは、ユーザーが自分なりにカスタマイズできる余白を設計に組み込んでみましょう。

キャリア・価値観

2026年のZ世代のキャリア観は、「出世」よりも「自分なりの幸福」を追求する方向へ変化しています。

従来の「組織の階段を上る」キャリアモデルに対し、Z世代は価値観や成長を軸にした柔軟なキャリア設計を好む傾向にあります。

Z世代のキャリア観を形づくる要素は、主に3つです。

お金自立した生活ができる経済力
意味自分の価値観に合った仕事
ウェルビーイング心身の健康と生活の充実

3つがバランスよく満たされる環境を、Z世代は理想の職場として捉えています。「バリバリ働く」の意味も変わりつつあり、出世ではなく「好きなものが買える経済力を得る」ことを指すケースが増えてきました。

AI時代への向き合い方にも特徴が見られます。

半数以上が業務でAIを活用する一方、技術スキルよりも「共感」「コミュニケーション」「リーダーシップ」といった人間ならではのソフトスキルを重視する姿勢が目立っています。

職場環境への期待も従来とは異なるでしょう。

情熱的な上司を理想とするZ世代は1割以下で、穏やかで個人を尊重する環境が求められる時代です。キャリアの相談相手として、上司や先輩よりも親を「最強のメンター」と位置づける傾向も見逃せません。

Z世代の採用やマネジメントに携わる方は、「出世を前提としない成長環境」をどう設計するか考えてみましょう。

Z世代のトレンドからわかるマーケティングに活用すべきSNS4選

Z世代の流行やトレンドは、SNSを起点に生まれ、SNS上で拡散されています。

マーケティングでZ世代にリーチするには、彼らが日常的に使うプラットフォームの特性を理解し、目的に応じて使い分ける視点が欠かせません。

ここでは、Z世代へのアプローチに活用すべきSNSを4つ紹介します。

  • TikTok|トレンドの源泉
  • Instagram|ビジュアル重視の発信力
  • YouTube|圧倒的なリーチ力
  • BeReal.|加工なしの「リアル」

それぞれの特徴と活用のポイントを確認していきましょう。

TikTok|トレンドの源泉

TikTokは、Z世代のトレンドが生まれる中心地として確固たる地位を築いています。

2025年のZ世代ヒットトレンドランキングでは、上位30項目のうち3分の1以上がTikTok発のトレンドでした。「エッホエッホ」のようなチャレンジ動画が総合1位を獲得するなど、TikTok上のムーブメントが社会的なヒットに直結する構造が定着しています。

利用率の伸びも顕著です。10代のTikTok利用率は、2020年の約2割から2024年には約6割へと急拡大しました。

若年層にとっては、もはや生活の一部といえる存在です。

TikTokの特徴とマーケティングでの活用ポイントは以下のとおりです。

トレンド発信力流行の音源やハッシュタグを取り入れた投稿で初速を高める
購買への影響力UGC風の自然な動画で商品との接点をつくる
界隈の拡散力ターゲットに近い界隈のナノインフルエンサーと連携する

ただし、TikTok発の流行語やネタはZ世代に深く浸透する反面、上の世代にはほとんど届かないケースも少なくありません。

このギャップを理解した上で、ターゲット層に合わせたコンテンツ設計と配信戦略を組み立ててみましょう。

Instagram|ビジュアル重視の発信力

Instagramは、Z世代がビジュアルを通じて自己表現と「界隈」形成を行う主戦場です。

Z世代の利用率は7割以上に達し、10代では約8割が日常的に活用しています。LINEやYouTubeと並ぶ「国民的SNS」としての地位を確立しており、マーケティングにおいて欠かせないプラットフォームといえるでしょう。

Instagramの強みは、特定の世界観を視覚的に表現できる点にあります。

「水色界隈」や「天使界隈」のように、色やモチーフで統一されたビジュアルが共感を生み、同じ感性を持つ仲間とのつながりを形成しています。Instagramの特徴とマーケティングでの活用ポイントは以下のとおりです。

界隈のビジュアル発信力ターゲット界隈の世界観に合わせた投稿デザインを設計する
UGC・口コミの連鎖ユーザーが投稿したくなるハッシュタグや体験価値を提供する
「自己満足」へのシフト映えよりも「自分が納得できる」パーソナルな提案を意識する

2026年の変化として押さえておきたいのが、「映え」から「納得」への価値観の移行です。アテンション・デトックスの影響で、他人の評価よりも自分が満足できるかどうかを基準に投稿や購買が行われる傾向が強まっています。

企業は一方的な売り込みではなく、ユーザー同士の共感や界隈内のつながりを支える「黒子」としてInstagramを活用してみましょう。

YouTube|圧倒的なリーチ力

YouTubeは、Z世代が最も利用しているSNSであり、世代を問わずリーチできる唯一無二のプラットフォームです。

Z世代の利用率は約9割と、LINE・Instagram・TikTokなど主要SNSの中で第1位となっています。

注目すべきは、上世代(29〜60歳)の利用率も約9割とほぼ同水準である点です。世代間のギャップがほとんどなく、幅広い層へ同時にアプローチできる媒体は他にありません。

過去3年間の推移を見ても、利用率は高い水準で安定しています。

流行に左右されず、確実にリーチを確保できるプラットフォームとして、マーケティングの基盤に据えやすいのが強みです。YouTubeの特徴とマーケティングでの活用ポイントは以下のとおりです。

全世代への圧倒的なリーチ力Z世代だけでなく親世代も含めた横断的なアプローチに活用する
検索・意思決定のインフラ化商品レビューやHowto動画で購買前の比較検討を支援する
長尺コンテンツとの相性ブランドストーリーや専門知識など深い理解を促すコンテンツを展開する

2026年に向けて、YouTubeは「答えを探す場」から「意思決定を支えるインフラ」へと進化しつつあります。TikTokで認知を広げ、YouTubeで深い理解と信頼を築くという役割分担を意識してみましょう。

BeReal.|加工なしの「リアル」

BeReal.は、加工やフィルターを一切排除した「ありのままの日常」を共有するSNSとして、Z世代から支持を集めています。

主要SNSの中で唯一、過去3年間で利用率が伸び続けている点が際立っています。2023年の約1割から2025年には約2割まで成長しており、一過性のブームではなく定着した文化といえるでしょう。

一方で、上世代(29〜60歳)の利用率は1割にも届きません。Z世代の約2割と比べると、全SNSの中で最も世代間ギャップが大きいプラットフォームです。

BeReal.が支持される理由は、「飾らなくていい安心感」にあります。通知が来た瞬間の自分と周囲を加工なしで投稿する仕組みが、不特定多数からの評価に疲れたZ世代の価値観と一致しているためです。

BeReal.の特徴とマーケティングでの活用ポイントは以下のとおりです。

加工なしのリアルタイム共有作り込みすぎない自然体のブランド発信を試みる
クローズドな信頼関係少人数の熱量あるファンとの深い関係構築を設計する
アテンション・デトックスとの親和性押し付けない情報提供で「見つけてもらう」体験を意識する

2026年には、BeReal.の写真をプリントしてアルバムにする「BeReal.ノート」も注目されています。デジタルの記録をあえてアナログで残す動きは、Z世代の「自分だけの体験を形にしたい」という欲求の表れです。

BeReal.の世界観を理解し、「企業が目立つ」のではなく「ユーザーのリアルに寄り添う」発信を意識してみましょう。

Z世代の価値観を活かしたマーケティングのポイント

Z世代に向けたマーケティングでは、流行を一方的に「仕掛ける」発想だけでは十分な効果を得にくくなっています。

彼らの行動の背景には、参加型消費やSNS共有前提の自己認識、流動的なトレンドといった独自の価値観があり、それを理解せずに設計された施策は違和感として受け取られやすいからです。

重要なのは、流行を押し付けることではなく、Z世代自身が自然に関わりたくなる余白を用意し、共感を起点に広がる流れをつくることです。

ここでは、Z世代の価値観を踏まえたうえで意識したいマーケティングの考え方を整理します。

参加しやすい余白をつくる

Z世代向けのマーケティングでは、ユーザーが自分なりに関われる余白を用意する発想が欠かせません。

Z世代は、完成された世界観を受け取るよりも、自分の解釈や表現を加えられる状態に価値を見出す傾向があるからです。

誰でも参加できる投稿フォーマットや、自由なアレンジを前提とした企画は、Z世代の参加を促しやすい設計です。トレンドの音源やテンプレートが広がりやすい背景にも、正解が一つに定まらず、自分なりの参加が許容されている構造があります。

参加のハードルを下げ、表現の余地を残した設計によって、Z世代は受け手ではなく担い手として関わり、共感を軸にした拡散が生まれやすくなります。

作り込みすぎないリアルさを意識する

Z世代向けのマーケティングでは、過度に作り込まれた表現よりも、自然体でリアルさのある発信が求められます。

Z世代はSNSを通じて多様な情報に触れており、広告的な演出や意図が強く出た表現に対して敏感に反応する傾向があるからです。

完璧に整えられたビジュアルや過剰なコピーよりも、日常感のある写真や率直な言葉づかいの投稿のほうが共感を集めやすい場面が見られます。BeReal.の支持が広がった背景にも、作為の少ない表現を評価する価値観があります。

作り込みを抑えたリアルな表現は、Z世代との心理的な距離を縮め、自然な信頼や共感の形成につながるでしょう。

共感を起点に広がる設計にする

Z世代向けのマーケティングでは、拡散や話題化を狙う前に、共感を起点とした設計が大切です。

Z世代は、企業やブランドからの一方的な発信よりも、自分と近い立場の人の体験や感情に価値を見出す傾向があるからです。

ナノインフルエンサーや一般ユーザーの投稿がきっかけとなり、自然に広がるトレンドは少なくありません。共感できる体験談や等身大の視点が含まれている投稿ほど、「自分も参加したい」「誰かに共有したい」という行動につながりやすくなります。

共感を土台にした設計によって、Z世代は情報の受け手ではなく共感の連鎖を生む存在となり、結果として自然な広がりが生まれます。

短期消費を前提に柔軟に更新する

Z世代向けのマーケティングでは、一つの施策や表現を長く使い続ける前提を置かず、柔軟に更新していく姿勢が重要です。

Z世代のトレンドは移り変わりが早く、流行は長期的に定着するものではなく、その時々の空気感を楽しむ対象として消費されるからです。

SNS上では、短期間で話題が切り替わり、新しいフォーマットや表現が次々と登場します。過去の流行も形を変えて再利用されるケースがあり、継続より更新を前提とした発信のほうが違和感なく受け入れられます。

短期的な消費を前提に設計を更新し続けることで、Z世代の関心とテンポに合ったマーケティングが実現できるでしょう。

SNSトレンドレポート|9大プラットフォーム 動向と活用

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まとめ|Z世代の流行を理解すればマーケティングで活用できる

Z世代の流行は、企業の一方的な仕掛けによって広がるものではなく、共感を起点とした自然な拡散によって形づくられます。

彼らが大切にしているのは「つながるけど染まらない」などの価値観であり、他者との共感を求めながらも自分らしさを失わないバランスを保つことです。

その結果、流行はナノインフルエンサーやUGCといった身近で信頼できる情報源から火がつき、ミニマルコミュニティのなかで共有され、やがて「会話の通貨」として拡散していきます。

だからこそ、企業がZ世代に向けたマーケティングを展開する際には、仕掛けの要素を前面に出すのではなく、共感や自己表現を支える体験を設計する必要があります。

Z世代が自然に「紹介したくなる」ような体験を提供できれば、流行は彼らの手によって広がり、結果として強いブランドロイヤルティを生み出すでしょう。

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