TikTokの観光事例3選!観光業界でTikTokが拡散される理由やマーケティング手法を解説

若い観光客がなかなか増えず、SNSでのPRもマンネリ気味になってはいないでしょうか。

どうすればもっと地域の魅力が伝わるのか、頭を悩ませている自治体や観光協会の担当者の方も多いかもしれません。

従来の広報手法だけでは、情報が溢れる現代の若者の心をつかむのは難しく、他の地域との競争はますます激しくなっています。

そこで注目されているのが、ショート動画プラットフォーム「TikTok」です。

すでに多くの自治体がTikTokを活用し、これまで届かなかった層へ地域の魅力を届ける成果を上げているのをご存じでしょうか。

この記事では、国内で成功しているTikTokの観光事例を紹介します。

さらに、なぜ今TikTokが注目されるのかという理由から、明日から使える具体的なマーケティング手法も開設しています。

TikTokを活用して、観光プロモーションを広げたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

TikTok活用による観光事例3選

近年、全国の自治体や観光関連企業が、情報発信のツールとしてSNSを積極的に活用しています。

中でも、ショート動画プラットフォームであるTikTokは、その高い拡散力から、観光事業での重要性を高めています。

しかし「若者向けのアプリ」などのイメージから、具体的にどのように観光誘致へつなげればよいのか、活用方法に悩む担当者の方もいらっしゃるかもしれません。

効果的なプロモーションを行うために成功事例から学んでいきましょう。

そこでここでは、国内の観光業界で注目されているTikTokの活用事例を5つ紹介します。

これらの事例を通じて、地域やサービスに合ったTikTok活用のヒントを見つけていきましょう。

京都市観光協会|ハッシュタグ企画

最初に紹介するのは、京都市観光協会によるハッシュタグ「#KyotoTrip」を活用した企画です。

このキャンペーンは、ユーザー自身が発信者となることで、京都の魅力を世界に広めることに成功した好事例といえます。

この取り組みが注目された理由は、広告ではなく、旅行者自身のリアルな視点を通じて京都の魅力を発信してもらう「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」を促した点です。

企業からの発信とは異なり、一般ユーザーによる投稿は信頼性が高く、他のユーザーの共感を得やすい特徴を持っています。

そのため、より自然な形で情報が拡散され、多くの人の旅行意欲を刺激しました。

この企画では、参加者が「#KyotoTrip」のハッシュタグをつけて動画を投稿するよう呼びかけられました。

清水寺や伏見稲荷大社といった有名な観光名所はもちろんのこと、投稿されたのはそれだけではありません。

路地裏にある趣深い喫茶店や、地元の人々が楽しむグルメなど、ガイドブックには載っていないような京都の日常的な風景も数多く共有されました。

この企画のポイントは以下のとおりです。

対象者海外からの訪日旅行者
目的ユーザー視点での京都の魅力発信
特徴定番以外の多様な魅力も拡散

結果として、このハッシュタグが付いた動画は世界中で視聴され、キャンペーン期間中には再生回数が200万回を超えたとも報告されています。

そのため、TikTok上での京都関連コンテンツの露出が大幅に増え、ブランド認知度の向上に大きくつながりました。

ユーザーが楽しみながら参加できるハッシュタグ企画は、地域のまだ知られていない魅力を発掘し、効果的にプロモーションするための有効な手段です。

まずは自地域の魅力をユーザーに発見してもらうためのテーマを考えてみましょう。

福岡市|TikTokクリエイターと連携したイベント

もう一つは、福岡市がTikTokクリエイターと連携し、イベントのプロモーションを成功させた事例です。

この取り組みは、これまで情報が届きにくかった若年層へ効果的にアプローチするための、優れた戦略の一つです。

福岡市は、アートイベント「FaN Week」の開催にあたり、主なターゲットである若年層、特にアートにまだ馴染みのない層への認知拡大の課題を抱えていました。

この企画で起用されたのは、当時約10万人のフォロワーを持つ旅行系クリエイター「ぴと@旅行WEBライター✈️」氏です。

彼はイベントに参加し、美術館や公園、カフェ巡りといった市内の魅力的なスポットを組み合わせた「お出かけ動画」を制作・投稿しました。

動画は、若者の視点で「楽しそう」「行ってみたい」と直感的に感じられる内容に編集されており、多くのユーザーの心を動かしました。

この施策がもたらした具体的な成果は以下のとおりです。

動画再生数約300万回
エンゲージメント2.7万件以上
サイト流入数イベント特設サイトへ約7,700PV
イベントの特徴動画の「保存」「共有」数が通常投稿の数倍を記録

特に注目すべきは「保存」や「共有」の数です。

これは動画を見たユーザーが、後で見返したり友人に勧めたりするために具体的な行動を起こした証拠であり、単なる視聴にとどまらない強い関心を引き出せたことを示しています。

この企画のように地域やイベントの特性と親和性の高いクリエイターとの連携は、ターゲット層に的確に情報を届け、実際の行動へとつなげるための有効な手法です。

プロモーションの際には、影響力のあるクリエイターとの協業も選択肢の一つとして検討してみてください。

千葉県船橋市|市内観光スポット紹介

3つ目の事例は、千葉県船橋市が人気TikTokクリエイターと連携して行った、市内観光スポットの紹介キャンペーンがあります。

この取り組みは、自治体がプラットフォーム側と直接協力し、地域の魅力を効果的に発信した事例として参考になります。

船橋市はこれまで、広報紙やホームページといった媒体を中心に市のプロモーション活動を行ってきました。

しかし、社会情勢の変化に対応し、より幅広い世代へ情報を届けるため、新たな情報発信ツールを模索していました。

2024年4月に開始されたこのキャンペーンでは、複数の人気TikTokクリエイターが起用されました。

彼らは実際に市内を訪れ、「ふなばしアンderusen公園」などの観光地やご当地グルメを体験する様子をショートムービーで投稿しています。

クリエイターならではの視点で切り取られた映像は、臨場感にあふれ、地域のリアルな楽しさを伝えることに成功しています。

この企画のポイントは以下のとおりです。

動画の内容市内のおすすめスポットやグルメを紹介
目的新たな層への観光魅力の訴求

動画が公開されると、視聴者からは「初めて船橋に行ってみたくなった」といった肯定的なコメントが寄せられました。

具体的な再生数などは公表されていませんが、市はこの取り組みを通じて、若年層や千葉県外への訴M求力に確かな手応えを感じています。

なぜ観光業界でTikTokが注目されるのか?

なぜ今、これほど多くの観光関連事業者がTikTokに注目しているのでしょうか。

その背景には、現代の旅行スタイルをリードする若者世代の行動の変化や、プラットフォームならではの特性が深く関わっています。

ここでは、観光業界でTikTokが重要視される理由を3つのポイントに絞って詳しく解説します。

このプラットフォームが持つ力を理解すれば、より効果的なプロモーション戦略を描くことができるようになるでしょう。

Z世代の旅行決定プロセス

観光業界でTikTokが注目される一つ目の理由は、Z世代の旅行先を決めるプロセスに大きな影響を与えている点です。

彼らにとってSNSは、単なるコミュニケーションツールではなく、情報収集から意思決定までを担うツールです。

従来の世代が旅行雑誌やガイドブックを参考に計画を立てていたのに対し、Z世代はSNS上で流れてくるビジュアル情報から直感的に「行ってみたい」と感じる傾向があります。

特に、タイムパフォーマンスを重視する彼らは、短時間で要点がわかるショート動画を好みます。

偶然「おすすめ」フィードに表示された絶景や美味しそうなグルメの動画が、次の旅行先を決めるきっかけになることも少なくありません。

具体的な計画を立てる際にもSNSが活用されます。

「#〇〇旅行」「#絶景スポット」といったハッシュタグで検索し、他のユーザーのリアルな投稿を参考にしながら、訪れる場所や巡るルートを組み立てていくのが通常です。

Z世代の旅行における情報収集には、以下のような特徴があります。

  • ビジュアル情報で直感的に判断
  • リアルな口コミや体験談を重視
  • 「タイパ」を意識した情報収集
  • ハッシュタグ検索でプランを作成

Z世代の旅行は「発見・興味・計画」の各段階でSNS、特にTikTokと密接に結びついています。

そのため、若年層の観光客を誘致するためには、彼らの行動プロセスに合わせた情報発信が必要です。

15秒で伝える観光地の魅力

TikTokのフォーマットが持つ「15秒という短さ」が、観光地の魅力を伝える上で強力な武器になる点です。

短い時間だからこそ、その場所の輝く瞬間を凝縮して届けることができます。

現代のユーザーは、日々多くの情報に接しており、一つのコンテンツに長い時間をかけることを好みません。

そのため、数秒で心を掴むインパクトが求められます。

TikTokのショート動画は、こうした視聴スタイルにマッチしていて、ユーザーが気軽に次々と動画を視聴してくれる可能性が高い傾向があります。

例えば、文章や写真だけでは伝えきれない現地の魅力を、映像と音で直感的に訴求できるのもTikTokならではの魅力の一つです。

具体的には、以下のような情景が撮影可能です。

  • 満開の桜が風に舞う一瞬の美しさ
  • 打ち寄せる波の心地よい音
  • ご当地グルメから立ち上る湯気とシズル感
  • 祭りの活気や熱気

「空気感」や「臨場感」は、短い動画だからこそ際立ちます。

視聴者は、まるでその場を訪れたかのような感覚を味わい、「ここに行ってみたい」などの気持ちを強く刺激されるでしょう。

TikTokは観光地の魅力を瞬時に、そして印象的に伝えるのに最適なプラットフォームです。

地域の「最高の一瞬」は何かを考え、それを切り取ることから始めてみてはいかがでしょうか。

拡散性の高さ

TikTokが観光業界で注目される3つ目の理由は、他のSNSと比較しても際立っている「拡散性の高さ」にあります。

優れたコンテンツは、アカウントのフォロワー数に関係なく、多くの人々に届く可能性を秘めています。

高い拡散性を支えているのが、TikTok独自のレコメンドシステムです。

このシステムは、ユーザー一人ひとりの興味関心を分析し、最適だと判断した動画を「おすすめ」フィードに表示します。

そのため、開設したばかりのアカウントであっても、コンテンツの質が高ければ多くのユーザーの目に触れるチャンスがあるのも特徴の一つです。

TikTokの拡散の仕組みには、以下のような特徴があります。

  • 興味関心が高いユーザーへ動画が自動で届く機能
  • ハッシュタグなどを通じ、ユーザーが関連動画を投稿
  • 面白い動画がすぐに流行し、爆発的に拡散

例えば、ある観光地で撮影された動画が話題になると、他のユーザーが「#〇〇行ってみた」といったハッシュタグを付けて次々と関連動画を投稿します。

この連鎖反応が、情報拡散の秘訣です。

TikTokの拡散力を活用すれば、一つの動画をきっかけに観光地の認知度を一気に高めることが可能です。

この仕組みは、低コストで高いプロモーション効果を期待できる大きな魅力といえるでしょう。

TikTok観光マーケティングの3つの手法

TikTokが観光業で実際にTikTokを活用して地域の魅力を発信するには、どのような方法があるのでしょうか。

やみくもに動画を投稿するだけでは、期待する効果を得るのは難しいかもしれません。

そこでここでは、観光マーケティングで成果を出すための代表的な手法を3つ紹介します。

  • 公式アカウントを運用する
  • インフルエンサーと連携する
  • ハッシュタグで参加を促す

それぞれの特徴を確認していきましょう。

公式アカウントを運用する

TikTokを活用した観光マーケティングで、最も基本的かつ重要な手法が、自治体や観光協会自身の「公式アカウントを運用」です。

公式アカウントを持つ最大のメリットは、伝えたい情報を自分たちの言葉で、継続的かつ直接的にユーザーへ届けられる点です。

第三者を介さないため、地域のブランドイメージをコントロールしやすく、信頼性の高い情報源として認知してもらうことができます。

公式アカウントで発信するコンテンツには、以下のようなものが考えられます。

  • 地元の人しか知らない穴場スポット
  • 旬のグルメや開催間近のイベント情報
  • 舞台裏で働くスタッフや地域の人々の紹介

運用のポイントは、アカウントのテーマや世界観の統一です。

「絶景がテーマ」「グルメ旅がテーマ」といったように一貫性を持たせることで、専門性が高まり、興味を持つユーザーにフォローされやすくなります。

公式アカウントは情報発信の基盤であり、後述するインフルエンサー施策やハッシュタグ企画を実施する際の受け皿としても機能します。

まずはアカウントを開設し、定期的な情報発信を始めることから取り組んでみてください。

インフルエンサーと連携する

公式アカウントの運用と並行して検討したいのが、影響力のある「インフルエンサーと連携する」手法です。

彼らは特定の分野で専門性を持ち、フォロワーと強い信頼関係を築き、自治体からの公式発表とは異なる「第三者のリアルな声」として情報が伝わるからです。

先の福岡市の事例でも、インフルエンサーの投稿は「保存」や「共有」といった行動につながりやすいことが示されました。

インフルエンサー連携には、以下のようなメリットがあります。

  • ターゲット層へ的確にリーチできる
  • 信頼性の高い情報として伝わる
  • 質の高い動画コンテンツが期待できる
  • ユーザーの行動を直接的に喚起する

成功させるためには、プロモーションの目的や地域の魅力と親和性の高いインフルエンサーを選ぶことです。

「絶景を発信してほしいなら旅行系」「グルメをアピールしたいならフード系」といったように、適切な人選が成果を左右します。

インフルエンサーとの連携は、観光地の認知度を飛躍的に高める可能性を秘めています。

ハッシュタグで参加を促す

3つ目の手法は、独自のハッシュタグを用いてユーザーの参加を促す企画です。

これは、ユーザー自身をプロモーションの主役にし、情報を自然な形で広げていく効果的な方法といえます。

この手法がなぜ有効かというと、ユーザーが自発的に投稿する「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」は、広告特有の宣伝色が薄く、他のユーザーから信頼されやすい利点があるからです。

友人のおすすめを聞くような感覚で情報が受け入れられるため、より強い興味や共感を呼び起こします。

例えば、京都市の「#KyotoTrip」のように、「#(地域名)おすすめスポット」といったオリジナルのハッシュタグを作成し、投稿を呼びかけるキャンペーンが考えられます。

ハッシュタグ企画には、以下のようなメリットがあります。

  • ユーザーによる多様な魅力の発見
  • 広告費を抑えた自然な情報拡散
  • 地域ファンのコミュニティ形成
  • リアルな口コミの収集と分析

この手法のポイントは、誰もが参加したくなるような、分かりやすく魅力的なテーマの設定です。

ユーザーを巻き込むハッシュタグ企画は、地域のまだ知られていない魅力を多角的に発信し、認知度を高めるための強力な一手となります。

まずは地域ならではのオリジナルのハッシュタグを考えてみましょう。

まとめ|TikTokを活用して観光プロモーションを広げよう

世代の旅行スタイルやTikTokの持つ高い拡散性を考えると、今後の観光戦略ではTikTokの活用は欠かせません。

紹介した「公式アカウントの運用」「インフルエンサーとの連携」「ハッシュタグ企画」は、いずれも強力な手法です。

本記事を参考に、まずはご自身の地域の魅力と最も相性の良い手法はどれか、検討することから始めてみてください。

そして、最初の一歩として、地域のまだ知られていない魅力を伝えるショート動画の企画に取り組んでみてはいかがでしょうか。

TikTokを最大限に活用し、新たな観光プロモーションの可能性を広げていきましょう。

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