TikTokショップの概要と出店方法|初心者が知るべき機能・手数料も解説

TikTokショップは、アプリ内で動画を見ながらそのまま商品を購入できる新しいEC機能です。
従来のネット通販と比べて、発見から購入までの流れが直感的で、ユーザー体験に優れた仕組みとして注目されています。
SNSやネット販売に取り組んでいても、思うように成果が出ない、初期費用や運営の手間に不安を感じるといった課題は少なくありません。
そうした状況で手軽に始められ、動画やライブ配信を活かして販売できるTikTokショップは、個人や中小事業者にとって有力な選択肢となります。
本記事では、TikTokショップの基本的な仕組みや他のECとの違い、主要機能、出店手続きの流れ、必要な費用や書類などをわかりやすく整理しています。
これからTikTokショップを始めたい方や、TikTokの機能を活用してビジネス展開していきたい方は、ぜひ参考にしてください。
TikTokショップとは?

TikTokショップとは、TikTokアプリ内で商品を販売・購入できるEC機能のことです。
動画を見ながらそのまま買い物できる点が、これまでのネット通販と異なります。
ユーザーはストレスなくスムーズに購入まで進めることができ、販売側にとっては機会損失を減らす効果も期待できます。
TikTokショップの主な特徴は、以下のとおりです。
- アプリ内で購入まで完結
- 動画とECが連携可能
- ライブ配信で商品紹介
- ショップ専用タブを搭載
- インフルエンサーと相性良好
具体的には、ショート動画やライブ配信で紹介された商品に、買い物カートがついており、その場で購入ページにアクセス可能です。
商品一覧を表示するショーケースや、ショップ専用のページ(ショップタブ)も用意されています。
TikTokショップは、エンタメ性とECをかけ合わせた新しい販売スタイルとして注目されています。
これから物販を始めたい人にとっても、親しみやすく使いやすいプラットフォームと言えるでしょう。
参照:TikTok「TikTok Shopを日本で提供開始!発見から購入までをアプリ内で完結し、新たな購買体験となる「ディスカバリーEコマース」を実現」
他SNSやECとの違い
TikTokショップは、従来のSNSやECサイトと異なる特徴を持つ新しいEC形態です。
特に「動画コンテンツと購買体験の融合」できる点で、他の販売チャネルとは異なるアプローチが可能になります。
例えば、InstagramやTwitterでは投稿を見た後に外部リンクへ移動して購入する流れが一般的です。
しかしTikTokショップでは、動画を見ながらそのまま商品購入ができるため、離脱のリスクが少なく、購買意欲が高まりやすい利点があります。
TikTokショップと他SNS・ECとの主な違いをまとめると、以下のとおりです。
項目 | TikTokショップ | 他SNS連携EC/従来EC |
---|---|---|
購入の流れ | アプリ内で完結 | 外部サイトへ遷移 |
情報の伝え方 | 動画・ライブで体験訴求 | テキスト・画像中心 |
購買スタイル | 発見型(偶然見て買う) | 検索型(探して買う) |
インフルエンサー活用 | 動画での直接訴求が可能 | 紹介リンクが主流 |
改善施策 | 行動データを活用しやすい | アクセス解析中心 |
TikTokショップは「買ってもらうために見せる」ではなく「見ているうちに欲しくなる」仕組みになっている点が大きな違いです。
これからECを始めたい方にとっても、自然な形で販売につながるプラットフォームと言えるでしょう。
日本での展開状況
TikTokショップは、2025年6月30日に日本で正式サービスを開始しました。
動画を楽しみながら商品と出会い、そのまま購入できる「ディスカバリーEコマース」として注目を集めています。
従来のECでは、ユーザーが自ら商品を検索して購入するのが一般的でした。
しかしTikTokショップでは、ショート動画やライブ配信の中で自然に商品と出会い、スムーズに購入まで進める仕組みが整っています。
実際に、日清食品やアンカー・ジャパン、ラコステジャパンなど、国内外の企業がすでに参入しており、インフルエンサーを活用したライブ販売やショート動画を活かしたプロモーションも進んでいます。
日本国内には3,300万人以上のTikTokユーザーがいるとされ大規模な利用者層に向けて、広告から購入までをアプリ内で完結できる点は、大きな販路拡大につながっていくでしょう。
TikTokショップの主要機能

TikTokショップには、動画コンテンツを活用した多彩な販売機能があります。
これらの機能を理解しておくことで、どのように商品を紹介し、購入へつなげていくのかが具体的にイメージしやすくなるでしょう。
主な機能として、以下の4つが挙げられます。
- カート付きショート動画
- LIVEコマース
- ショーケース
- ショップタブ
上記機能をうまく使い分けることで、TikTok内での販売チャンスを広げることができます。
ここからは、それぞれの機能の特徴と活用方法について、順番に解説していきます。
カート付きショート動画
カート付きショート動画は、TikTok内で商品購入までを完結できる代表的な販売機能です。
視聴と購買がシームレスにつながるため、初心者でも扱いやすいのが特長です。
TikTokで人気の「ショート動画」に、商品購入ページへのリンク(カートボタン)を直接埋め込むことができ、ユーザーは動画を見ながらそのまま購入手続きへ進めます。
この機能には、以下のような特徴があります。
- 商品リンクを動画に表示
- 動画視聴中に購入が可能
- 別サイトへの移動が不要
- 商品の魅力を動画で訴求
例えば、コスメの使用動画やレビューの中にカートを設置すれば、興味を持った瞬間に購入につなげることができます。
視聴者の「気になる」を逃さず、自然な流れで販売できる点が魅力です。
カート付きショート動画は、商品紹介と購買導線を一つにまとめられる便利な仕組みです。
TikTokに慣れている人なら、すぐに使いこなせるでしょう。
LIVEコマース
LIVEコマースは、TikTok内でライブ配信を使って商品を紹介・販売できる機能です。
リアルタイムで視聴者と交流しながら紹介できるため、信頼感を得やすく、購入につながりやすいのが特長です。
配信中に視聴者からの質問に答えたり、使用感を実演したりすれば、商品の魅力を具体的に伝えることができます。
限定オファーや割引情報をその場で案内できるため、購買の後押しにもなります。
LIVEコマースの主な利点は、以下のとおりです。
- 視聴者と直接やり取りできる
- 商品の使用感をリアルに伝えられる
- 限定・特典で購買を促進できる
- 配信後も動画として活用可能
例えば、アパレルブランドが新作の着用感を紹介するライブ配信を行い、視聴者の質問に答えながら販売するケースがあります。
視聴者はその場で納得したうえで購入に進めるため、安心感と満足度も高められるでしょう。
LIVEコマースは販売だけでなく、ファンとの信頼関係を築きながら売上にもつなげられる、効果的な機能です。
ショーケース
ショーケースは、TikTokショップ内で商品を詳しく紹介できる専用ページです。
商品の特徴や魅力をしっかり伝えることで、購入を迷っているユーザーの後押しになります。
ショーケースでは、商品の写真や説明文、使い方の動画、購入者レビューなどをまとめて掲載できます。
「ネット上の商品棚」のような役割を持ち、信頼感や購入意欲を高めるために欠かせない機能です。
ショーケースで表示される主な内容は、以下のとおりです。
- 商品の詳細情報(サイズ・素材など)
- 高画質の写真や紹介動画
- 実際の使用シーンや活用方法
- 他の購入者によるレビュー
例えば、調理器具を販売する場合には、完成した料理の写真や、使っている様子の動画を掲載すれば、ユーザーは使い方や完成イメージを想像しやすくなります。
ショーケースはただの「商品説明」ではなく、商品そのものの価値や利用シーンを伝える重要な機能です。
動画との組み合わせで、より効果的なアピールができるでしょう。
ショップタブ
ショップタブは、TikTokアプリ内にある「ショッピング専用のページ」です。
ここを開くだけで、さまざまな商品をまとめて探すことができ、オンラインモールのように楽しめる仕組みです。
通常の動画とは別に、ユーザーが自ら買い物目的でアクセスできる場所なので、商品を見つけてもらいやすくなります。
TikTokのおすすめ機能(レコメンド)により、興味のありそうな商品が自動で表示されるのも特長です。
ショップタブでできることは、以下のとおりです。
- 商品の検索や絞り込み
- カテゴリ別に商品を一覧表示
- おすすめ商品が自動表示される
- そのまま購入まで完結できる
例えば、アパレル系のブランドがショップタブに商品を掲載していれば、ユーザーは気になる服を見つけたタイミングで、動画から離れても購入ページにアクセスできます。
ショップタブは「動画で商品を知ったあと」「直接買いたいとき」など、さまざまな場面で活用される便利な機能です。
出店する側にとっても、より多くのユーザーに商品を届けられる入り口となるでしょう。
TikTokショップの費用

TikTokショップを始めるにあたって、費用面が気になる方も多いかもしれません。
特に副業や個人での出店を考えている場合、「初期費用が高いのでは?」と不安に感じることもあるでしょう。
実際には、TikTokショップは比較的手軽に始められる仕組みになっており、固定費が少ない点も魅力の一つです。
ただし、販売時にかかる手数料や、売上の受け取り方法など、事前に理解しておくべきポイントがあります。
ここでは、費用に関する3つの項目を解説していきます。
- 初期費用と月額コスト
- 商品販売時の手数料設定
- 支払い・決済の仕組み
それぞれの内容を把握しておくことで、「実際にどれくらいかかるのか?」がイメージしやすくなります。
それぞれ順番に確認していきましょう。
初期費用と月額コスト
TikTokショップは、初期費用や月額料金がかからず、誰でも手軽に始められるのが特長です。
出店に必要な費用が抑えられているため、副業や個人での挑戦もしやすい仕組みです。
他のECモールでは、出店時に初期費用がかかったり、月額の固定費が発生することがあります。
しかしTikTokショップでは、商品が売れるまで費用は発生しません。
初期費用・月額コストに関するポイントは、以下のとおりです。
- 出店や開設の費用は不要
- 月額固定費も一切かからない
- 売れたときだけ手数料が発生
- アフィリエイトや広告は別途費用あり
例えば、2025年6月30日からスタートした日本版TikTokショップでは、新規出店者向けに「90日間の手数料割引(3%)」が適用されるキャンペーンも実施されています。
通常の手数料は売上の5〜8%程度が目安ですが、こうした優遇措置もうまく活用すると良いでしょう。
TikTokショップは「売れた分だけ費用がかかる」成果報酬型のモデルです。
初期投資が不要なため、物販初心者でもリスクを抑えて始めやすいのが大きな魅力です。
商品販売時の手数料設定
TikTokショップでは、商品が売れたときにのみ「販売手数料」が発生します。
初期費用や月額費用がかからない代わりに、販売手数料が主なコストとなります。
販売手数料は、商品代金に対して一定の割合で課金される仕組みです。
日本国内では、現在7%(決済手数料を含む)程度が基本設定となっています。
ただし、新規出店者向けのキャンペーンなどにより、一定期間だけ割引されるケースもあります。
販売時に関わる手数料の概要は、以下の通りです。
- 販売手数料は7%が基本
- 決済手数料も含まれている
- キャンペーンで割引になることもあり
- アフィリエイト報酬は別途必要
例えば、登録から45日以内に商品を一定数出品すれば、手数料が3%に割引されるキャンペーンが実施されることがあります。
インフルエンサーに紹介を依頼する場合は、アフィリエイト手数料も別途発生します。
なお、販売手数料は国や時期、出店者の状況によって変わる場合があるため注意してください。
支払い・決済の仕組み
TikTokショップでは、支払いから売上の振込までをTikTokのシステムが自動で処理してくれるため、初心者でも安心して運営できます。
特別な決済システムを用意する必要はなく、すべてアプリ内で完結できるのも特長です。
購入者は、クレジットカードや電子マネーなどで支払いを行い、その代金はいったんTikTok側で預かられます。
その後、商品の配送が完了すると、売上金がセラーのアカウントに反映されます。
支払い・決済の主な流れは、以下のとおりです。
- 購入者がアプリ内で決済
- TikTokが代金を一時的に預かる
- 配送完了後に売上金が反映
- 登録口座へ定期的に振込
例えば、商品が無事に購入者に届いたことが確認されれば、売上金が数日以内にアカウントへ反映されます。
その後、指定した銀行口座に一定のサイクルで入金される仕組みです。
返金やキャンセルが発生した場合には、TikTokが自動的に対応してくれるため、複雑な手続きに悩むこともありません。
TikTokショップの決済はシンプルで、セラー側の手間を最小限に抑えられる設計になっています。
口座情報の誤入力だけは事前にしっかり確認しておきましょう。
TikTokショップの出店の主な流れ

TikTokショップで商品を販売するには、いくつかの設定や登録が必要です。
ただし、特別な知識がなくても、画面に沿って進めるだけで手続きを完了できるようになっています。
はじめて出店する方にとっては不安もあるかもしれませんが、流れをひとつずつ確認すれば、無理なく進められるでしょう。
出店までの主なステップは、以下の5つです。
- アカウント登録を行う
- 出店者情報を設定する
- 集荷先・返送先を入力する
- 本人確認書類を提出する
- 銀行口座を登録する
それぞれのステップで必要な作業や注意点を、順番に確認していきましょう。
アカウント登録する
TikTokショップを始めるには、まずTikTokアプリで「ビジネスアカウント」に切り替えることが必要です。
ビジネスアカウントにすることで、ショップ機能や商品管理などの専用ツールが使えるようになります。
設定はアプリ上から簡単に行えるため、特別な操作は必要ありません。
登録の流れは、以下のとおりです。
- TikTokアプリの「設定とプライバシー」を開く
- 「アカウントの種類を切り替える」を選択
- 「ビジネスアカウント」を選び、カテゴリを設定
- 電話番号やメールで認証を行う
例えば、ビジネスカテゴリでは「美容」「アパレル」「食品」など、自分の商品に合った分類を選びます。
アカウント情報の入力と認証を済ませたら、セラーセンターで必要情報を登録し、出店の申請を行います。
アカウント登録は出店のスタート地点です。
設定や申請はガイドに沿って順番に進められるため、初心者でも迷わず取り組めます。
出店者情報を設定する
TikTokショップの開設には、出店者としての基本情報を正しく登録しなければなりません。
ショップの運営に関わる情報や本人確認、販売前の初期設定を行います。
このステップでは、法人か個人事業主かを選び、それに応じた情報や書類を入力・アップロードしていきます。
後の審査にも関わる重要な工程なので、正確に入力しましょう。
出店者情報の設定で行う作業は、以下のとおりです。
- Seller Centerでアカウントを作成
- 法人or個人事業主の区分を選択
- 名前・連絡先・所在地などを入力
- ショップ名・説明・ロゴを設定
例えば、個人で出店する場合には、氏名や住所のほか、運転免許証やマイナンバーカードの画像をアップロードします。
法人の場合は、登記簿や法人番号の提出が必要です。ショップの見た目に関わるロゴや説明文もここで設定できます。
出店者情報の登録はショップの信頼性を高めるために必要な作業です。
あとから修正できる項目もありますが、最初にきちんと設定しておくことで、スムーズに審査へ進めるようになります。
集荷先や返送先を入力する
TikTokショップでは、商品を発送したり返品を受け取ったりするために、「集荷先」と「返送先」の住所情報をあらかじめ登録しておく必要があります。
これらは物流に関わる重要な項目で、正確な入力が求められます。
集荷先は、購入された商品を出荷する際の拠点であり、返送先は返品された商品を受け取る住所です。
どちらもスムーズな運営に直結するため、事前に確認したうえで設定しましょう。
入力する主な情報は、以下のとおりです。
- 郵便番号・都道府県・番地などの住所
- 担当者の氏名と電話番号
- 返送先が別の場合は個別に入力
- 必要に応じて倉庫・物流会社名も記載
例えば、倉庫を使って出荷する場合には、その所在地と担当者名を記入します。
返送先が別の場所になる場合は、同じように詳細な情報を個別に入力します。
集荷先と返送先を同一にしたい場合は、「同じ住所を使用する」のチェックを入れるだけでOKです。
配送まわりの住所設定は、トラブルを防ぐうえでも大切なステップです。
あとから変更も可能ですが、初期設定の段階でしっかり確認しておきましょう。
書類を提出する
TikTokショップを正式に開設するためには、本人確認や事業内容の審査に必要な書類を提出するステップが欠かせません。
登録者の種類(個人事業主または法人)に応じて、指定された書類を正確にアップロードする必要があります。
不備があると審査が遅れるため、事前に必要な書類を準備して、鮮明な画像で提出しなければなりません。
提出書類の種類と手順は以下のとおりです。
個人事業主の場合 | ・開業届の写し(屋号使用時のみ)・本人確認書類(運転免許証/パスポートなど) |
法人の場合 | ・登記簿謄本(履歴事項全部証明書)・代表者の本人確認書類 |
提出の主な流れは、以下のとおりです。
- Seller Centerにアクセスしアカウント作成
- 事業者情報を入力
- 本人確認書類をアップロード
- 銀行口座情報の登録
- 提出内容を確認し送信、審査待ち
例えば、屋号で個人出店する方は、開業届の写しと本人確認書類を提出するだけで審査に進めます。
法人の場合は、法人登記や代表者確認が求められるため、事前の準備がより大切です。
書類提出はTikTokショップ開設の要ともいえる工程です。
正しい情報と鮮明な書類を揃えることで、スムーズな審査通過が期待できます。
まとめ|TikTokショップの特徴を理解し、自分のビジネスに活かそう
TikTokショップは、動画やライブ配信を通じて商品を紹介し、そのままアプリ内で購入まで完結できる、新しい形のECプラットフォームです。
エンタメ性と購買体験が自然に融合しているため、従来のネットショップとは異なる魅力があります。
特に、初期費用や月額コストがかからず、販売手数料だけで始められる手軽さは、副業を検討している方やEC初心者にとって始めやすい仕組みです。
出店の手続きもシンプルで、必要な書類を準備して順番に進めれば、誰でも出店を目指せます。
Z世代を中心に多くのユーザーが利用しているTikTokの場を活かすことで、商品やブランドの認知拡大、販路の拡充にもつなげることが可能です。
TikTokショップの仕組みを理解したうえで、自分のビジネスに合った形で取り入れることで、オンライン販売の新しい可能性が広げられるでしょう。