TikTok採用のやり方と事例|踊らなくても若手に届く運用のコツ

「求人媒体に掲載しても若手からの応募がほとんど来ない」「説明会に来てくれる学生が年々減っている」——そんな悩みを抱える採用担当者の方は少なくないのではないでしょうか。
Z世代を中心とした若年層は、情報収集の入り口が検索エンジンや求人サイトから、TikTokやInstagramといったショート動画プラットフォームへと移りつつあります。
そこで注目されているのが「TikTok採用」です。ただ、「TikTokといえばダンス」「社員を踊らせるのは抵抗がある」「炎上が怖い」といったイメージから、なかなか一歩を踏み出せない企業も多いのが実情です。
実際には、TikTok採用で成果を出している企業の多くは、ダンスやバズ狙いではなく、職場のリアルな雰囲気や社員の人柄を丁寧に伝えることで応募につなげています。
本記事では、TikTok採用の基本的な考え方から、具体的なやり方、業界別の事例パターン、成果を出すためのコツと注意点までを体系的に解説します。これからTikTok採用を始めたい方、始めたもののうまくいっていない方は、ぜひ参考にしてください。

TikTok採用とは?今注目される理由
TikTok採用とは、ショート動画プラットフォームであるTikTokに企業アカウントを開設し、職場の様子や社員の日常、仕事内容などを動画で発信することで、求職者との接点をつくり応募や採用につなげる手法です。
SNS採用の一形態ですが、他のSNSと比べて「若年層へのリーチ力」と「拡散力」に大きな特徴があります。
フォロワーが少なくても見てもらえるアルゴリズム
TikTokの最大の特徴は、フォロワー数に関係なく、動画の内容や視聴維持率などをもとに「おすすめ」フィードへ表示される仕組みにあります。
InstagramやXでは、ある程度フォロワーを集めないと投稿が広がりにくい傾向がありますが、TikTokではアカウント開設直後でも、動画次第で多くのユーザーに届く可能性があります。
採用広報にかけられる予算や知名度が限られる中小企業にとって、これは大きなチャンスといえるでしょう。
Z世代の「情報収集の場」になっている
若年層の間では、TikTokは単なる娯楽アプリではなく、飲食店や商品、旅行先などを探す「検索ツール」としても使われるようになっています。
仕事や会社選びについても同様で、「〇〇業界 1日の流れ」「〇〇職 リアル」といった形で動画を探す行動が見られます。テキスト中心の求人票では伝わりにくい職場の空気感を、動画で直感的に知りたいというニーズが高まっているのです。
「応募前のギャップ」を減らせる
動画は、文字や写真に比べて圧倒的に情報量が多いメディアです。社員の話し方や表情、オフィスや現場の雰囲気がそのまま伝わるため、応募者は入社後のイメージを具体的に描きやすくなります。
結果として、「思っていた会社と違った」という入社後のミスマッチを減らし、定着率の向上につながるケースもあると言われています。
TikTok採用のメリット・デメリット
TikTok採用を始める前に、メリットとデメリットの両面を把握しておくことが重要です。自社の採用ターゲットやリソースと照らし合わせて検討しましょう。
メリット:低コストで潜在層にリーチできる
TikTokのアカウント開設・投稿は無料で、スマートフォン1台あれば撮影から編集まで完結できます。求人広告のように掲載期間ごとに費用が発生するわけではないため、継続するほど資産が積み上がっていく点が魅力です。
また、「今すぐ転職したい」と考えている顕在層だけでなく、「なんとなく面白そうな会社」として興味を持つ潜在層にもアプローチできます。これまで接点のなかった層からの応募が生まれる可能性がある点は、求人媒体にはない強みです。
メリット:業界・企業イメージを刷新できる
建設、介護、製造、運送など、いわゆる「きつそう」「地味」といったイメージを持たれがちな業界ほど、TikTok採用の効果が出やすい傾向があります。
明るい職場の様子や社員同士の仲の良さ、意外な一面を見せることで、業界に対するステレオタイプを覆し、「この会社なら働いてみたい」と思ってもらえるきっかけになります。
デメリット:成果が出るまで時間がかかる・炎上リスクがある
一方で、TikTok採用は「投稿すればすぐに応募が来る」ものではありません。アカウントの方向性が定まり、ファンが育つまでには一般的に数ヶ月単位の継続が必要です。
また、拡散力が高い分、不適切な表現や社内事情の映り込みなどがあると、短時間で批判が広がる炎上リスクもあります。
さらに、ターゲットが主に若年層に偏るため、ミドル層や専門職の採用には他のSNSとの併用が必要になるでしょう。
TikTok採用のやり方【6ステップ】
ここからは、TikTok採用を始めるための具体的な手順を6つのステップで解説します。いきなり撮影を始めるのではなく、最初の設計にしっかり時間をかけることが成功への近道です。
ステップ1〜2:目的・ターゲットを決め、アカウントを設計する
まずは「誰に、何を伝え、どんな行動をしてほしいのか」を明確にします。たとえば「地元の高校生・専門学校生に、製造現場の楽しさを伝え、会社説明会に来てもらう」といった具体的なレベルまで落とし込みましょう。
ターゲットが曖昧なままだと、動画の方向性がぶれて誰にも刺さらないアカウントになってしまいます。
次に、アカウントのコンセプトを設計します。プロフィール名、アイコン、自己紹介文に「何の会社で、どんな動画を発信しているのか」がひと目でわかるようにすることが大切です。
プロフィール欄には採用サイトや応募フォームへのリンクを設置し、興味を持ったユーザーがすぐに次の行動に移れる導線を用意しておきましょう。あわせて、ビジネスアカウントへの切り替えを行えば、視聴データの分析機能を活用できます。
ステップ3〜4:運用体制とルールを整え、企画を立てる
TikTok採用は継続が命です。担当者1人に任せきりにすると、通常業務の忙しさから更新が止まりがちになります。企画担当、撮影・出演者、編集担当、投稿前チェック担当など、役割を分担して無理なく回せる体制をつくりましょう。
また、炎上を防ぐために「映してはいけないもの(顧客情報、機密書類、個人のプライベートなど)」「出演者の同意取得」「投稿前のダブルチェック」といった運用ルールを事前に文書化しておくことをおすすめします。
企画については、TikTokで伸びている動画を研究し、「自社に置き換えるとどうなるか」を考えるのが効率的です。後述する定番企画パターンを参考に、まずは10本程度のネタをストックしてから運用を始めると、ネタ切れで止まるリスクを減らせます。
ステップ5〜6:撮影・投稿し、データを見て改善する
撮影はスマートフォンで十分です。むしろ作り込みすぎた映像よりも、手ブレや素の表情が残るラフな動画のほうが「リアルさ」が伝わりやすく、TikTokでは好まれる傾向があります。
動画の冒頭1〜2秒で「何の動画か」「続きが気になる」と思わせる構成を意識し、テロップを入れて音声なしでも内容がわかるようにしましょう。
投稿後は、再生数だけでなく、視聴維持率、いいね・コメント・保存数、プロフィールへのアクセス数、そして最終的な応募数を確認します。伸びた動画と伸びなかった動画を比較し、冒頭の見せ方やテーマ、尺などを少しずつ改善していくことで、アカウント全体のパフォーマンスが上がっていきます。
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TikTok採用の事例|成果が出やすい企画パターン
TikTok採用で成果を上げている企業の事例を見ると、いくつかの共通する企画パターンが見えてきます。ここでは、業界別によく見られる成功パターンを紹介します。
特定企業の数値を鵜呑みにするのではなく、「なぜ伸びたのか」という構造を自社に応用する視点で参考にしてください。
建設・製造業:ギャップと意外性で業界イメージを覆す
建設業や製造業では、「強面の社長が社員のためにお弁当を作る」「職人さんが意外な特技を披露する」といった、業界イメージとのギャップを活かした企画が多くの再生数を集める傾向があります。
視聴者は「建設会社なのにこんなに和やかなの?」という驚きから動画を見続け、結果として職場の温かい雰囲気が自然に伝わります。重機や専門工具を使った作業風景も、普段見る機会がないため「見ていて気持ちいい」コンテンツとして人気があります。
介護・医療・サービス業:現場スタッフのリアルな日常を見せる
介護業界などでは、現場スタッフが登場して1日の仕事の流れや、利用者さんとの心温まるやりとり(プライバシーに十分配慮したうえで)、仕事のやりがいを語る動画が共感を集めやすいとされています。
「大変そう」というイメージだけでなく、チームで支え合う職場の雰囲気を伝えることで、応募者の不安を和らげることができます。こうした発信を継続した結果、毎月安定して応募や採用が生まれるようになったという事例も報告されています。
オフィスワーク・IT企業:社員のキャラクターと「あるある」で親近感をつくる
オフィス中心の企業では、「新入社員あるある」「上司と部下の会話シリーズ」「社員の1日ルーティン」といった、共感やクスッと笑える要素を取り入れた企画が定番です。
特定の社員がキャラクターとして定着すると、「あの人がいる会社で働きたい」というファン化につながります。また、オフィスで料理をするなど、職場の自由な社風が伝わる企画も、社員同士の距離感の近さを印象づけるのに効果的です。
TikTok採用を成功させるコツと注意点
最後に、TikTok採用で成果を出すために押さえておきたいコツと、失敗しないための注意点をまとめます。
コツ①:「バズ」より「共感」と「継続」を重視する
1本の動画が大きくバズっても、それが採用ターゲットと無関係な層に広がっただけでは応募にはつながりません。大切なのは、ターゲットとなる求職者が「この会社いいな」と感じる動画を継続的に届けることです。
再生数が伸び悩んでも、コメントやプロフィールアクセスが増えていれば着実に前進しています。目安として、週2〜3本程度の投稿を3ヶ月以上続けることを最初の目標にするとよいでしょう。
コツ②:踊らなくていい。社員の「素」を見せる
「TikTok=ダンス」というイメージは根強いものの、採用目的のアカウントで踊る必要はまったくありません。むしろ、無理にトレンドに乗った動画は社員の負担になり、継続の妨げになります。
仕事中の真剣な表情、休憩中の何気ない会話、先輩から後輩へのアドバイスなど、社員の「素」の姿こそが求職者にとって価値のある情報です。
出演を嫌がる社員に無理強いせず、手元だけの撮影や声のみの出演など、参加しやすい形を用意することも大切です。
注意点:炎上対策と応募導線の設計を忘れずに
拡散力の高いTikTokでは、炎上リスクへの備えが欠かせません。「長時間労働を美化する表現」「ハラスメントと受け取られかねない言動」「他社や顧客を揶揄するネタ」は避け、投稿前に複数人でチェックする体制を整えましょう。
また、せっかく興味を持ってもらっても、応募方法がわからなければ機会損失になります。プロフィールのリンク、固定動画での募集要項紹介、「気になった方はプロフィールから」といった動画内での案内など、視聴から応募までの導線を明確に設計しておくことが重要です。
まとめ
TikTok採用は、フォロワー数に左右されにくいアルゴリズムと高い拡散力を活かし、低コストでZ世代を中心とした若年層にリーチできる有効な採用手法です。
成果を出している企業の事例を見ると、ダンスやバズ狙いではなく、業界イメージとのギャップや現場のリアルな日常、社員の人柄を丁寧に伝えることで応募につなげている点が共通しています。
TikTok採用のやり方としては、①目的とターゲットの明確化、②アカウント設計、③運用体制とルールづくり、④企画立案、⑤撮影・投稿、⑥データ分析と改善、の6ステップを意識し、最低でも3ヶ月は継続することが成功のポイントです。
炎上対策と応募導線の設計もあわせて行い、自社らしい発信を積み重ねていきましょう。
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